業務部長のつぶやき

昨年、弊社のホームページを立ち上げた。主な理由は企業としての最低限の体裁を保つことと、従業員の募集を行う際のせめてもの道標がないのは如何なものか?という社内での声を反映してのものである。そもそも弊社の業務は世間様にPRしようがしまいが業績には関係ない。従い無理やり立ち上げたホームページは会社の代表の交代とか主要設備の更新とかでもない限り“ほったらかし”にされて誰からも見向きもされなくなる運命にある。これじゃ寂しかろう!というのが昨晩の懇親会の席での話題で、コラムでも作り、せめて月一ぐらいで更新してはどうか!?という囁きにまんまと乗せられて筆をとった次第である。折しも会社の部下である若手“看板娘”とのジェネレーションギャプに基づく“知っている言葉、知らない言葉”のやり取りが痛快な今日この頃、そんな他愛のない内輪話も含めて活字化し社内外に披露するのも有りかな!という思いもある。テレビ出演、業界紙への寄稿、大学での講演と少なからずあるメディアとのやり取りの際には親会社による共産圏並みの検閲を受けることとなっているが、このコラムにはそんな野暮な横槍が入らないことを祈りつつ筆を進めることとする。

富士登山

仕事柄お客さんとの会食の機会は少なくない。そして仕事の話はまずしない。他愛のない世間話の延長線で、酒の勢いに任せて様々な約束を交わしてしまう。富士山への挑戦も例外ではなかった。7月21日~22日の土日が決行日。よりによって前日の金曜日の暑気払いと下山直後の月曜日のゴルフの予定が入っていた。新宿バスタ10:30発富士山5合目行きのバスは中央自動車道路お約束の大渋滞の影響で定刻より2時間遅れの14:30頃に到着。たまたま4人中3人が愛煙家であったため、登山開始前の“いっぷく”を試みるも空気が薄いためか、着火に大難儀。前途多難を感じつつ15:00時に入山したが、直ぐに前夜の深酒を大反省することとなった。飲みすぎによる体内水分アンバランスのためか、足の付け根からつま先までが悲鳴を上げ、3人のパートナー(名誉の為申し上げるが、筆者より断然若い)の足手まといになること5時間、砂利場や、岩場や、それらしき難所を命からがら登破し、漸く8合目の山小屋に到着。平地の2~3倍はするビールで小一時間の前夜祭後にまさに“うなぎの寝床”で仮眠をとるもレム睡眠状態が訪れる前の00時に起床。ご来光前の登頂を目指し、暗闇に光のうねりを作る数多くの登山者達に再び加わることとなった。渋滞によるスローペースのおかげか前日よりはへこたれることなく03:30頃に山頂の鳥居を潜り、それなりの防寒着は用意していたものの5℃の気温に震えつつのご来光待ち。気象条件は上々で5時半頃に感動の日の出が・・・疲れが吹っ飛ぶなんてことはなかったものの頂上制覇に感無量(実は4月に100kmウオーキングに挑戦し、73km地点リタイヤの苦い経験あり)と相成ったのもつかの間、余力のある3人からエクストラの“おはち回り”
を提案され、その後の下山と合わせ、肉体と精神力の限界を痛感することとなった。日本最高高温記録が熊谷で更新された7月23日の酷暑のゴルフが限界の肉体に否応のない追い打ちをかけたのは言うまでもない。

本来であれば第一回目のつぶやきとしては、当社が飯のタネとして取り扱っている穀物のあれこれについて紹介すべきところであるが、たまたま先週末に富士山に登山(多分人生で最初で最後)し、その痛烈な体験の記憶の冷めやらぬうちにお伝えしたく、今回のネタとさせていただきました。

 

つぶやき その弐                 2018年8月28日

千客万来

数えたわけではないが弊社には年間100組程度の見学者がお見えになる。株主3商社(豊田通商、丸紅、三菱商事)、日本最大の飼料コンビナートを構成する客先9社(飼料関係8社、食品関係1社)。それぞれの本社からも半日コースと手頃であり、海外からの出張者も(成田空港に近いため)行き帰りに気安く立ち寄れるロケーションにあること。また日頃なかなか目にする機会のない大型貨物船の見学が比較的容易に出来ることなどが主な理由と思われる。転勤者や新入社員の研修期間である4月~6月頃は見学案内のダブルヘッダー、トリプルヘッダーも珍しい事ではなく、時に案内に夢中になり過ぎ昼食を取り損ねそうになることも1度や2度ではない。加えて最近では飼料各社のユーザーである畜産農家さんの飼料工場の見学の際、セットで当社の見学を希望されることが多く、現場案内の機会は年々増加している。私どもの会社の性質上、自らの営業努力が業績に反映されることは稀で、客先各社の飼料生産数量の増減が当社の業績を左右すると言っても過言ではないので、畜産農家さんの生産意欲については最大の関心事ということになる。少子高齢化に歯止めがかからず、人口減少の一途を辿る我が国において、食に携わる当社の業績も縮小傾向を余儀なくされる状況にあったが、ここにきて潮目の変化を感じ始めている。見学者の若返りや女性の見学者の増加が顕著であるのだ。人口の減少を相殺して余りあるほどの外国からの旅行者の増加(インバウンド効果)により我が国の配合飼料生産量は底打ちから上昇に転じ始めている。外国からの旅行者の増加傾向を示す折れ線グラフと我が国の農水産物の輸出の増加を示すそれとをほぼ重ね合わせることが出来るというデータもある。これまでの守りの経営から攻めの経営への転換を唱える専門家や学識経験者の声を聴く機会も増えていることからも業界にとっては願ってもいないチャンスの到来で、見学者との意見交換にも思わず力が入る今日この頃なのである。当社にお見えになる関係者の方々には弊職なりの最大限の感謝の気持ちをもってご案内差し上げている。明るい未来の畜産のパイオニアを目指すチャレンジャーに幸あれと念じつつ。

 

つぶやき その参                    2018年9月28日

ソーラス対応

皆さんはSOLAS条約をご存知でしょうか?アカデミー賞を総なめにし、誰でも一度は見たであろう名作映画「タイタニック」は1912年に実際にあったタイタニック号の海難事故の史実をベースに制作されました。この事故を契機として1914年に「海上における人命の安全のための国際条約」が締結され、それ以降何度もの改正を経て、1974年に現在の「SOLAS条約」が締結されました。と、ここまでは専ら船舶関係者及びその利用者の安全の確保に資する為の条約としての位置づけでした。

ところが、2001年9月11日(所謂9.11)米国での同時多発テロ事件が起り、これを契機に“船舶と港湾施設の保安対策の強化に対する機運が高まり、SOLAS条約に“港湾施設の保安対策の義務化”を追加した所謂「改正ソーラス条約」の誕生と成ったわけです。(国内法としては「国際航行船舶及び国際港湾施設の保安確保等に関する法律」として2004年に制定されております。

当社には1年間に50~60隻程度の国際航行船の離着岸がありますので、国際埠頭施設(年間12隻以上で条件を満たす)と位置付けられており、保安対策が義務化されております。実は去る9月27日にも国土交通省による定期立ち入り検査が実施されたばかりであります。(指摘事項無しの高評価をいただきました。)

 さて、ここまで読んで頂いて「何だか、難しいことを立派にやってるんだろうな!」的な感想をお持ちになったかと存じますが、実態はこうです。

  1. 敷地内への不審者の侵入防止のため、敷地外周に張り巡らされたフェンスを嵩上げしたうえに、忍び返しや有刺鉄線を付設しての侵入防止
  2. 出入口を原則一カ所に限定し、スタッフカード(社員及び一部の協力会社の社員のみに配布)を持たない入構者には守衛(ガードマン)による入退出の厳しいチェック(しかも三点確認といわれる本人確認(免許証等顔写真付き身分証明書)所属確認(団体名)、入構の目的)を行う。【これは毎日顔を出す郵便局や宅配便の配達員、仕出し弁当屋さん、重要取引先のお客様も例外とはしません(“顔パス”を良しとせず)ので、極めて評判が悪い】
  3. 人感センサーや監視カメラによる①の補完
  4. ③の定期的な作動確認やメンテナンス。
  5. 4半期毎の不審者の侵入等を想定した訓練や研修
  6. 同取り組みに関する内部監査や外部審査
  7. 等々、色々と事細かな管理が義務付けられており、一年を通じて相当なエネルギーを投入する業務となっております。 

一方で当社にやってくる大型貨物船の積み荷はとうもろこしをはじめとする穀物であり、基本的には武器の材料等になったりすることはありえません。また本船を乗っ取った挙句、積み荷を転売して資金源にするなんてことも非効率すぎて想像出来ません。つまりテロリストが当社の監視体制を突破して国際船舶を襲撃もしくは侵入&潜伏して悪事を成し遂げる確率がどの程度あるのだろう?と考えるに空しい気持ちになってしまうのは私だけでしょうか?早く平和な世の中が訪れることを心より強く願う今日この頃です。

 

つぶやき その四

大麻(おおあさ)神社祭礼

 毎年10月第三土曜日明けの月曜日には決まって風邪をひく(正確には風邪をひいたふりをせざるを得なくなる)。お祭りで声を張り上げ “だみ声” になってしまうからだ。筆者はお祭りの山車(だし)の上でお囃子(地元では演奏者のことを下座(げざ)と呼んでいる)をやっている。昨年ユネスコの世界文化遺産登録された“関東三大山車祭り”の一つに数えられる佐原の大祭の流れを汲んだ祭りなので、「佐原ばやし」を演奏することになる。我が玄通(げんづう)下座連のレパートリーは30~40曲程度だが、腕の良い“お祭り命”の下座連(注 囃子連、芸座連 と呼ぶ団体もある)だと50曲越えの持ち曲があったりする。演奏曲はお祭りの場面、場面で使い分ける。役物、段物、端物というカテゴリーがあり、端物の中には早調子(どんつく)、中速曲、流し(ゆったりとした曲)の3段階があり、更に若連(山車の引き回しを担当する若者達の集団)の踊り用に流しの曲を早調子にアレンジしたりしている。山車の1日の運行は必ず役物である砂切り(さんぎり)→馬鹿囃子(ばかばやし)→花三番(はなさんば)で始まり、馬鹿囃子→砂切で終わる。山車を90度以上回転させる(道路の角を曲がる場合や“のの字回し”を行う)際には花三番の高音部分である“ひしぎ”を演奏する。神様の仮殿でお神輿が収納されている御仮屋(おかりや)通過時及び他の山車とのすれ違いの際には大太鼓を叩かない。等、等、様々な決まりごとに配慮しながら運行しなければならないので、傍から見た華やかさのの裏側でかなり神経を使いながら演奏しているのである。

ところで、祭りといえば下座はあくまで脇役で、主役は若連ということになる。

若連の中心は20~30代の若者で、中高生も補佐役に回る。小学生や幼児も父兄の監視付きで参加するので、総勢100名程度で山車を引き廻す。筆者の若連時代には未成年の飲酒は当たり前で、酒の勢いでの喧嘩や様々ないざこざがあったものだが、ご時世なのか昨今は感心するぐらい規律が取れている。祭りのハイライトは何と言っても若連による”手踊り“だが、最近は踊りの優雅さに加えて衣装の華やかさも注目されているようだ。数年前に日本国中のお祭りを車に寝泊まりしながら追いかけているお祭り気違いのおじさんに言われたことがあった。「大麻神社の祭礼は日本一の女祭りですよ」と。そういえば一頃は寂れかけていて、お祭りの継続は難しいと頭を悩ませていた時期もあったが、最近は若者の参加が過去にないほど増えていて、しかも女子の参加が目立つ。

さて、今年の祭りだが、事故もなく、天候にも恵まれ、盛大に挙行することが出来た。秋のお祭りに向け1年を通して稽古(練習という言葉を使うと通の人に怒られる)を継続することはかなりの負担ではあるのだが、祭礼の2日半(本祭は土、日の2日だが金曜日の午後から前夜祭がある)、若連の女衆にちやほやされ、感動のフィナーレ時に「下座長!最高でした!来年もまた、おねがいしまぁぁーす!!」と言われると、来年に向け、また1年頑張ってみるか!と思ってしまう今日この頃なのである。

 完

 

つぶやき その五                     2018年12月3日

大型貨物船

とうもろこしは世界中の港から大型の貨物船に積まれて運ばれてくる。ばら積みと言われて粒のまま”どさっ“と入ってくる。貨物船には路線バスのように運行スケジュールの決まっている”定期船“と観光バスのようなチャーター型の“不定期船”があり、とうもろこしなどの穀物の輸送ではほとんどの場合、不定期船が使われる。

当社では創業30年を過ぎ、2000隻を優に超える不定期船の入港を記録しているが、同一の本船が2度3度と繰り返しやってくるケースは稀で、多くの本船との出会いは一期一会となる。パナマックスという言葉をお聞きになったことはおありだろうか?地球儀を俯瞰したとき、太平洋から大西洋(または逆)に移動するにはアフリカ大陸最南端の喜望峰を回るか南米大陸最南端のホーン岬を回るかの選択肢があるが、もう一つパナマ運河を利用してショートカットするという方法がある。パナマ運河通行可能最大型の本船という意味でパナマックス(panama-max)と呼ばれ、それより大型の船はパナマ運河が通行できず、岬(英語でcape)回りをせざるおえないのでケープサイズと呼ばれている。((注)近年パナマ運河の拡張工事が完了し、高い通行料を支払えば、ケープサイズクラスでも条件によってはパナマ運河の通航が可能となっている)。船には船籍(船の国籍)があり、パナマ船籍が代表的であるが、ギリシャ、香港、シンガポール、インド、等の海洋国家やマルタ、バハマ、マーシャル諸島等の地図上でも目を凝らさないと見つからないような小島国に船籍登録をする船も増えてきている(節税目的か!?)。乗組員は、船長(captain)、機関長(chief-engineer),一等航海士(chief-officer)などの要職を中心に20名前後で構成されており、平均50日~70日程度の一航海を年間5~6ラウンドこなすといったイメージとなる。従い岸壁に係船された状態(半陸上)よりも海上での生活が中心となるため、孤独に耐えうる精神力がなければ船員には不向きである。船の生活は様々な不自由や困難を伴うため、一定レベルの賃金が保証されることになるが、乗組員の成り手の多い少ないはその時々の各国経済の趨勢と反比例する。例えば、十年以上前には中国や韓国の船員さんが多くみられたが、最近はとんと見かけなくなっている。わざわざ船に乗らなくても国内である程度稼ぐことが出来るからであろう。現在、不定期貨物船の多くはフィリピン人の船員さんにより運行されている。自国に主だった産業を持たず、GDPのかなりの部分を海外からの仕送りで賄っている同国の男子にとって船員は天職ともいえるものなのかもしれない。グローバル化の中にあって安価な原材料を調達する為には大型船による大量輸送は欠かすことが出来ない。フィリピンの船員さんは楽天的且つ真面目なので、船員にはうってつけだと思う。いつも人懐こい笑顔を欠かすことのない彼らのおかげで、私達の不足のない生活があるのだと考える今日この頃なのである。