業務部長のつぶやき

昨年、弊社のホームページを立ち上げた。主な理由は企業としての最低限の体裁を保つことと、従業員の募集を行う際のせめてもの道標がないのは如何なものか?という社内での声を反映してのものである。そもそも弊社の業務は世間様にPRしようがしまいが業績には関係ない。従い無理やり立ち上げたホームページは会社の代表の交代とか主要設備の更新とかでもない限り“ほったらかし”にされて誰からも見向きもされなくなる運命にある。これじゃ寂しかろう!というのが昨晩の懇親会の席での話題で、コラムでも作り、せめて月一ぐらいで更新してはどうか!?という囁きにまんまと乗せられて筆をとった次第である。折しも会社の部下である若手“看板娘”とのジェネレーションギャプに基づく“知っている言葉、知らない言葉”のやり取りが痛快な今日この頃、そんな他愛のない内輪話も含めて活字化し社内外に披露するのも有りかな!という思いで筆を進めることとする。

富士登山

仕事柄お客さんとの会食の機会は少なくない。そして仕事の話はまずしない。他愛のない世間話の延長線で、酒の勢いに任せて様々な約束を交わしてしまう。富士山への挑戦も例外ではなかった。7月21日~22日の土日が決行日。よりによって前日の金曜日の暑気払いと下山直後の月曜日のゴルフの予定が入っていた。新宿バスタ10:30発富士山5合目行きのバスは中央自動車道路お約束の大渋滞の影響で定刻より2時間遅れの14:30頃に到着。たまたま4人中3人が愛煙家であったため、登山開始前の“いっぷく”を試みるも空気が薄いためか、着火に大難儀。前途多難を感じつつ15:00時に入山したが、直ぐに前夜の深酒を大反省することとなった。飲みすぎによる体内水分アンバランスのためか、足の付け根からつま先までが悲鳴を上げ、3人のパートナー(名誉の為申し上げるが、筆者より断然若い)の足手まといになること5時間、砂利場や、岩場や、それらしき難所を命からがら登破し、漸く8合目の山小屋に到着。平地の2~3倍はするビールで小一時間の前夜祭後にまさに“うなぎの寝床”で仮眠をとるもレム睡眠状態が訪れる前の00時に起床。ご来光前の登頂を目指し、暗闇に光のうねりを作る数多くの登山者達に再び加わることとなった。渋滞によるスローペースのおかげか前日よりはへこたれることなく03:30頃に山頂の鳥居を潜り、それなりの防寒着は用意していたものの5℃の気温に震えつつのご来光待ち。気象条件は上々で5時半頃に感動の日の出が・・・疲れが吹っ飛ぶなんてことはなかったものの頂上制覇に感無量(実は4月に100kmウオーキングに挑戦し、73km地点リタイヤの苦い経験あり)と相成ったのもつかの間、余力のある3人からエクストラの“おはち回り”
を提案され、その後の下山と合わせ、肉体と精神力の限界を痛感することとなった。日本最高高温記録が熊谷で更新された7月23日の酷暑のゴルフが限界の肉体に否応のない追い打ちをかけたのは言うまでもない。

本来であれば第一回目のつぶやきとしては、当社が飯のタネとして取り扱っている穀物のあれこれについて紹介すべきところであるが、たまたま先週末に富士山に登山(多分人生で最初で最後)し、その痛烈な体験の記憶の冷めやらぬうちにお伝えしたく、今回のネタとさせていただきました。

 

つぶやき その弐                 2018年8月28日

千客万来

数えたわけではないが弊社には年間100組程度の見学者がお見えになる。株主3商社(豊田通商、丸紅、三菱商事)、日本最大の飼料コンビナートを構成する客先9社(飼料関係8社、食品関係1社)。それぞれの本社からも半日コースと手頃であり、海外からの出張者も(成田空港に近いため)行き帰りに気安く立ち寄れるロケーションにあること。また日頃なかなか目にする機会のない大型貨物船の見学が比較的容易に出来ることなどが主な理由と思われる。転勤者や新入社員の研修期間である4月~6月頃は見学案内のダブルヘッダー、トリプルヘッダーも珍しい事ではなく、時に案内に夢中になり過ぎ昼食を取り損ねそうになることも1度や2度ではない。加えて最近では飼料各社のユーザーである畜産農家さんの飼料工場の見学の際、セットで当社の見学を希望されることが多く、現場案内の機会は年々増加している。私どもの会社の性質上、自らの営業努力が業績に反映されることは稀で、客先各社の飼料生産数量の増減が当社の業績を左右すると言っても過言ではないので、畜産農家さんの生産意欲については最大の関心事ということになる。少子高齢化に歯止めがかからず、人口減少の一途を辿る我が国において、食に携わる当社の業績も縮小傾向を余儀なくされる状況にあったが、ここにきて潮目の変化を感じ始めている。見学者の若返りや女性の見学者の増加が顕著であるのだ。人口の減少を相殺して余りあるほどの外国からの旅行者の増加(インバウンド効果)により我が国の配合飼料生産量は底打ちから上昇に転じ始めている。外国からの旅行者の増加傾向を示す折れ線グラフと我が国の農水産物の輸出の増加を示すそれとをほぼ重ね合わせることが出来るというデータもある。これまでの守りの経営から攻めの経営への転換を唱える専門家や学識経験者の声を聴く機会も増えていることからも業界にとっては願ってもいないチャンスの到来で、見学者との意見交換にも思わず力が入る今日この頃なのである。当社にお見えになる関係者の方々には弊職なりの最大限の感謝の気持ちをもってご案内差し上げている。明るい未来の畜産のパイオニアを目指すチャレンジャーに幸あれと念じつつ。

 

つぶやき その参                    2018年9月28日

ソーラス対応

皆さんはSOLAS条約をご存知でしょうか?アカデミー賞を総なめにし、誰でも一度は見たであろう名作映画「タイタニック」は1912年に実際にあったタイタニック号の海難事故の史実をベースに制作されました。この事故を契機として1914年に「海上における人命の安全のための国際条約」が締結され、それ以降何度もの改正を経て、1974年に現在の「SOLAS条約」が締結されました。と、ここまでは専ら船舶関係者及びその利用者の安全の確保に資する為の条約としての位置づけでした。

ところが、2001年9月11日(所謂9.11)米国での同時多発テロ事件が起り、これを契機に“船舶と港湾施設の保安対策の強化に対する機運が高まり、SOLAS条約に“港湾施設の保安対策の義務化”を追加した所謂「改正ソーラス条約」の誕生と成ったわけです。(国内法としては「国際航行船舶及び国際港湾施設の保安確保等に関する法律」として2004年に制定されております。

当社には1年間に50~60隻程度の国際航行船の離着岸がありますので、国際埠頭施設(年間12隻以上で条件を満たす)と位置付けられており、保安対策が義務化されております。実は去る9月27日にも国土交通省による定期立ち入り検査が実施されたばかりであります。(指摘事項無しの高評価をいただきました。)

 さて、ここまで読んで頂いて「何だか、難しいことを立派にやってるんだろうな!」的な感想をお持ちになったかと存じますが、実態はこうです。

  1. 敷地内への不審者の侵入防止のため、敷地外周に張り巡らされたフェンスを嵩上げしたうえに、忍び返しや有刺鉄線を付設しての侵入防止
  2. 出入口を原則一カ所に限定し、スタッフカード(社員及び一部の協力会社の社員のみに配布)を持たない入構者には守衛(ガードマン)による入退出の厳しいチェック(しかも三点確認といわれる本人確認(免許証等顔写真付き身分証明書)所属確認(団体名)、入構の目的)を行う。【これは毎日顔を出す郵便局や宅配便の配達員、仕出し弁当屋さん、重要取引先のお客様も例外とはしません(“顔パス”を良しとせず)ので、極めて評判が悪い】
  3. 人感センサーや監視カメラによる①の補完
  4. ③の定期的な作動確認やメンテナンス。
  5. 4半期毎の不審者の侵入等を想定した訓練や研修
  6. 同取り組みに関する内部監査や外部審査
  7. 等々、色々と事細かな管理が義務付けられており、一年を通じて相当なエネルギーを投入する業務となっております。 

一方で当社にやってくる大型貨物船の積み荷はとうもろこしをはじめとする穀物であり、基本的には武器の材料等になったりすることはありえません。また本船を乗っ取った挙句、積み荷を転売して資金源にするなんてことも非効率すぎて想像出来ません。つまりテロリストが当社の監視体制を突破して国際船舶を襲撃もしくは侵入&潜伏して悪事を成し遂げる確率がどの程度あるのだろう?と考えるに空しい気持ちになってしまうのは私だけでしょうか?早く平和な世の中が訪れることを心より強く願う今日この頃です。

 

つぶやき その四

大麻(おおあさ)神社祭礼

 毎年10月第三土曜日明けの月曜日には決まって風邪をひく(正確には風邪をひいたふりをせざるを得なくなる)。お祭りで声を張り上げ “だみ声” になってしまうからだ。筆者はお祭りの山車(だし)の上でお囃子(地元では演奏者のことを下座(げざ)と呼んでいる)をやっている。昨年ユネスコの世界文化遺産登録された“関東三大山車祭り”の一つに数えられる佐原の大祭の流れを汲んだ祭りなので、「佐原ばやし」を演奏することになる。我が玄通(げんづう)下座連のレパートリーは30~40曲程度だが、腕の良い“お祭り命”の下座連(注 囃子連、芸座連 と呼ぶ団体もある)だと50曲越えの持ち曲があったりする。演奏曲はお祭りの場面、場面で使い分ける。役物、段物、端物というカテゴリーがあり、端物の中には早調子(どんつく)、中速曲、流し(ゆったりとした曲)の3段階があり、更に若連(山車の引き回しを担当する若者達の集団)の踊り用に流しの曲を早調子にアレンジしたりしている。山車の1日の運行は必ず役物である砂切り(さんぎり)→馬鹿囃子(ばかばやし)→花三番(はなさんば)で始まり、馬鹿囃子→砂切で終わる。山車を90度以上回転させる(道路の角を曲がる場合や“のの字回し”を行う)際には花三番の高音部分である“ひしぎ”を演奏する。神様の仮殿でお神輿が収納されている御仮屋(おかりや)通過時及び他の山車とのすれ違いの際には大太鼓を叩かない。等、等、様々な決まりごとに配慮しながら運行しなければならないので、傍から見た華やかさのの裏側でかなり神経を使いながら演奏しているのである。

ところで、祭りといえば下座はあくまで脇役で、主役は若連ということになる。

若連の中心は20~30代の若者で、中高生も補佐役に回る。小学生や幼児も父兄の監視付きで参加するので、総勢100名程度で山車を引き廻す。筆者の若連時代には未成年の飲酒は当たり前で、酒の勢いでの喧嘩や様々ないざこざがあったものだが、ご時世なのか昨今は感心するぐらい規律が取れている。祭りのハイライトは何と言っても若連による”手踊り“だが、最近は踊りの優雅さに加えて衣装の華やかさも注目されているようだ。数年前に日本国中のお祭りを車に寝泊まりしながら追いかけているお祭り気違いのおじさんに言われたことがあった。「大麻神社の祭礼は日本一の女祭りですよ」と。そういえば一頃は寂れかけていて、お祭りの継続は難しいと頭を悩ませていた時期もあったが、最近は若者の参加が過去にないほど増えていて、しかも女子の参加が目立つ。

さて、今年の祭りだが、事故もなく、天候にも恵まれ、盛大に挙行することが出来た。秋のお祭りに向け1年を通して稽古(練習という言葉を使うと通の人に怒られる)を継続することはかなりの負担ではあるのだが、祭礼の2日半(本祭は土、日の2日だが金曜日の午後から前夜祭がある)、若連の女衆にちやほやされ、感動のフィナーレ時に「下座長!最高でした!来年もまた、おねがいしまぁぁーす!!」と言われると、来年に向け、また1年頑張ってみるか!と思ってしまう今日この頃なのである。

 完

 

つぶやき その五                     2018年12月3日

大型貨物船

とうもろこしは世界中の港から大型の貨物船に積まれて運ばれてくる。ばら積みと言われて粒のまま”どさっ“と入ってくる。貨物船には路線バスのように運行スケジュールの決まっている”定期船“と観光バスのようなチャーター型の“不定期船”があり、とうもろこしなどの穀物の輸送ではほとんどの場合、不定期船が使われる。

当社では創業30年を過ぎ、2000隻を優に超える不定期船の入港を記録しているが、同一の本船が2度3度と繰り返しやってくるケースは稀で、多くの本船との出会いは一期一会となる。パナマックスという言葉をお聞きになったことはおありだろうか?地球儀を俯瞰したとき、太平洋から大西洋(または逆)に移動するにはアフリカ大陸最南端の喜望峰を回るか南米大陸最南端のホーン岬を回るかの選択肢があるが、もう一つパナマ運河を利用してショートカットするという方法がある。パナマ運河通行可能最大型の本船という意味でパナマックス(panama-max)と呼ばれ、それより大型の船はパナマ運河が通行できず、岬(英語でcape)回りをせざるおえないのでケープサイズと呼ばれている。((注)近年パナマ運河の拡張工事が完了し、高い通行料を支払えば、ケープサイズクラスでも条件によってはパナマ運河の通航が可能となっている)。船には船籍(船の国籍)があり、パナマ船籍が代表的であるが、ギリシャ、香港、シンガポール、インド、等の海洋国家やマルタ、バハマ、マーシャル諸島等の地図上でも目を凝らさないと見つからないような小島国に船籍登録をする船も増えてきている(節税目的か!?)。乗組員は、船長(captain)、機関長(chief-engineer),一等航海士(chief-officer)などの要職を中心に20名前後で構成されており、平均50日~70日程度の一航海を年間5~6ラウンドこなすといったイメージとなる。従い岸壁に係船された状態(半陸上)よりも海上での生活が中心となるため、孤独に耐えうる精神力がなければ船員には不向きである。船の生活は様々な不自由や困難を伴うため、一定レベルの賃金が保証されることになるが、乗組員の成り手の多い少ないはその時々の各国経済の趨勢と反比例する。例えば、十年以上前には中国や韓国の船員さんが多くみられたが、最近はとんと見かけなくなっている。わざわざ船に乗らなくても国内である程度稼ぐことが出来るからであろう。現在、不定期貨物船の多くはフィリピン人の船員さんにより運行されている。自国に主だった産業を持たず、GDPのかなりの部分を海外からの仕送りで賄っている同国の男子にとって船員は天職ともいえるものなのかもしれない。グローバル化の中にあって安価な原材料を調達する為には大型船による大量輸送は欠かすことが出来ない。フィリピンの船員さんは楽天的且つ真面目なので、船員にはうってつけだと思う。いつも人懐こい笑顔を欠かすことのない彼らのおかげで、私達の不足のない生活があるのだと考える今日この頃なのである。

 

ゆぶやき その六

社内十大(重大)ニュース                              2018年12月18日

弊社には忘年会の余興として従業員からその年の社内における重大ニュースを募り、十大ニュースとしてランキングを発表するという恒例行事がある。中には備忘録を準備し、1年間の出来事をバランスよく投票するといった生真面目な社員もいるが、大方の社員は記憶に頼りながらの投票となるため、内容は年の後半の出来事が中心となる。(1~3月の出来事が登場するのは極めて稀)項目別の得票数で順位を決めるので、毎年人事関係が第一位となる(これは業務部、施設管理部、総務部、財経・人事部とある社内の組織の中で共通の関心事であるからだろう)。匿名による投票ではあるが、内容や文体から誰が書いたものかはある程度想像がつくことからあまり無茶な表現は出てこないが、それでも会社への希望や不満をそこはかとなく織り込んでくるので面白い。定番の一位はさておいて、今年の二位はバッド・ニュースとグッド・ニュースが同得票となった。バッド・ニュースは≒2,800日(7年半以上)続いていた無事故無災害記録が途絶えてしまったことであるが、グッド・ニュースは倉庫業においての収益の要である保管在庫数量が過去最高を記録したことである。つぶやきその弐でも触れているが、当社の取り扱い数量を左右する飼料各社の生産量が漸く上向きに転じ始めたとはいえ、国家備蓄制度(詳細は後のネタ切れの際にでも述べることにする)が2年半前に廃止されてからはよもやこんな日を迎えるなんて誰が想像したであろうか!?背景には米国と中国の貿易戦争がある。中国が米国に対する報復として輸入大豆の関税を引き上げたことにより、割高な米国産大豆の中国への輸出がストップ。優先的に積み込まれたとうもろこし積来船があれよあれよという間に日本に押し寄せたというわけだ!

さて、弊社の忘年会も終わり、十大ニュースも出揃ったところで、今年も余すこと2週間と相成りました。小職の“つぶやき”をお読みいただいているありがたい読者諸兄がどのぐらいいらっしゃるかは全くもって定かではありませんが、今年一年のお付き合いに心中より感謝を申し上げますとともに来年が皆様にとりまして実り多き一年となりますことをお祈りせずにはいられない今日この頃であります。

 

つぶやき その七 

飯のタネ=とうもろこし                  2019年1月9日

先日 “つぶやき” をご覧いただいた方からリクエストのメールを頂戴した。当ホームページにてざっくりとご紹介している「業務の流れ」についてもう少し細かく説明してはどうか?というものであった。確かに富士登山やらお祭りやらを書く前に“本丸”を一通り解説しておくのが筋と認識していたこともあり、今後しばらくは“業務の流れ”に沿って書き進めることとしたいが、その前にどうしても我々の飯のタネである穀物について述べておく必要があるので、今回はとうもろこしについて書かせていただく。

パソコンでググってみたら世界人口は何と1日に20万人規模で増えているという。世界総人口は今日現在75億に達しており、ブルゾンちえみも37.5億と言い換える必要がありそうだ。さて本題であるが75億の人口を20億㌧の穀物が支えているという事実をご存知だろうか?大雑把な言い方をすると世界には“食べるために生きている”人々と“生きるために食べている”貧困層の人々が存在する。世界で生産される20億㌧の穀物を均等割すれば一人当り年間267kg(1日当り0.73kg)ということになるが、実際には平等に分配される事は無い。世界3大穀物は生産数量の多い順番に①とうもろこし②小麦③米であるが、②と③が食料として直接消費されるのに対し、①はその多くが配合飼料に加工されたのち家畜の餌として消費され、肉やたまごや乳製品として食卓にのぼることになる。飼料要求率(2:3:11)という言葉があるが、これは鶏、豚、牛の肉を食卓に届けるまでに家畜に与えるとうもろこしの量を示している(例えば2kgのとうもろこしを与え1kgの鶏肉を得る)。前述の通り、米や小麦はほとんどの場合直接消費されるが、とうもろこしの場合は経済力に応じ消費のされ方は様々な形態に分かれる。(上記からも鶏肉中心の食生活を牛肉中心にかえることによる食糧の需給に与えるインパクトがいかに大きいかがお分かりいただけると思う。)

さて、上述の20億㌧の穀物の内とうもろこしの生産量は約半分の10億トンに上る。地球上の限られた畑や水(降水)を利用して最大限の作物の収穫を得ようとした場合、とうもろこしへの依存度を上げることが唯一の選択肢であるといえる。何故ならば、とうもろこしは地球上のあらゆる穀物の中で最も反収が高いからである。とうもろこしには明確な祖先種である野生植物がなく、他の植物との比較から来る数多くのユニークな特徴から「宇宙からもたらされた植物である」という都市伝説があるぐらいその存在自体が謎に満ちており、植物学者達からは「怪物」と呼ばれているという(テンシントというイネ科の野生植物がとうもろこしの祖先と何らかの関係があるとする説があるが、ここでは無視することとする)。昨今皆さんは米中の貿易戦争やら人工知能による労働力の置き換えやら、5Gの技術が支配する世界の出現やら、将来が見通せない(ついていけそうにない)近未来に戦々恐々とする日々を送っておられないだろうか?そんな予測困難な世の中でも人は食べなければ生きていけないし、その為には宇宙からの贈り物かも知れない「怪物」に大いに依存しなければならないことは紛れもない事実なのだ。とうもろこしを扱う仕事をやっていて本当によかったなぁ!と思う今日この頃なのである。   

 

つぶやき 業務の流れ その一

(荷主が買い付けし海外産地で船積み)          2019年2月27日

ここでいう“荷主”は主に商社を指すが、スワップ(後で詳しく説明する機会があると思う)のケースもあるので、全農さんも含まれる。穀物の産地での流れを簡単に説明すると 畑(農家)⇒カントリーエレベーター⇒リバーエレベーター(若しくはターミナルエレベーター)⇒シーボードエレベーター⇒船積みとなる。まずは農家であるが、米国の穀物生産農家の平均で450エーカー(180ヘクタール=東京ドーム40個分)と言われており、その規模はざっと北海道の農家の13倍という大きさであるが、米国中西部の主産地やオーストラリア、ブラジルなどには数千エーカーから数万エーカーという農家も存在する。前項の“とうもろこし”で説明した通り、世界の人口の増加(それに伴う購買力の上昇が条件となる)が背景にあるので、相場は底堅い状況が続いており、その間に稼いだ利益を保管スペース等の増設という設備投資に向けた農家も多く、従来の収穫→出荷(売却)という流れから最近では収穫→保管(相場の上昇を待つ)→出荷という流れに変化してきている。以前は農家単位の保管能力不足から収穫直後に一定量のとうもろこしが各エレベーターを経由してマーケットに流れたため収穫時期に相場は一旦冷え込む傾向(ハーベスト・プレッシャー)が見られたが、昨今は大豊作が何年も続いているにも関わらず、この相場現象が表れにくくなっている。カントリーエレベーターは最近日本でも農協などを中心にお米の集荷、乾燥、脱穀、袋詰めなどを行うサイロ保管施設が運営されているので、イメージのわく諸兄もおられるかと推察するが、日本国内のそれが数千トン規模なのに対し、海外のカントリーエレベーターは10万㌧前後(日本の港湾サイロと同規模)がスタンダードである。カントリーエレベーターでは集荷(買取り)、乾燥、一時保管されたのち、川輸送の拠点であるリバーエレベーターや貨車輸送の拠点であるターミナルエレベーターに出荷されるが、前述の個々の農家の保管能力の増強に伴い、役目の重要性が薄れつつあることも事実である。ターミナルエレベーターは貨車輸送の出発点で世界各国の穀物生産地域に点在しているが、リバーエレベーターは米国中西部に特徴的に存在する。アメリカ中西部を南北に流れるミシシッピ川を本流として繋がっている複数の河川から艀(はしけ:動力のない水に浮かぶ巨大な鉄製の箱)船団がタグボートに押されて南下する。途中、ロック&ダムと呼ばれる施設を経由することにより土地の高低差をダム内の水位調整により克服している。艀船団は川下に進むに従い川幅が広がることに比例して増幅され、30隻ほどの連結(積載量で5-60,000㌧)になることも珍しくない。最終的にミシシッピ川の河口ニューオーリーンズ周辺に点在するシーボードエレベーターに搬入、グレーディングされた後、世界各国に向けて船積みされることになる。日本の商社は世界中のシッパー(ルイドレファス、カーギル、ガビロン等の穀物商)から穀物を購入、船積みに当り船荷証券及び輸出用のインボイス(海上保険付きのもの)の準備が完了すると日本向けの貨物を本船の船長に託すことになる。

 

つぶやき 其の八                    2019年2月28日

社内旅行

3回前に書いた十大(重大)ニュースを発表する忘年会と並んで、社内旅行は年1回の一大イベントである。先週末の223日~24日に1泊の静岡県焼津方面バス旅行が、用事のあった社員を除くほぼ全員の参加により実施された。当社の社内旅行は創業以来の恒例行事となっており、過去には飛行機や新幹線を利用しての遠隔地への旅も企画、挙行されたが、近年では専ら貸し切りバスを使っての近場温泉旅行が主流と変わってきている。何故か?旅のスタートからあまりにも賑やかすぎて、公共交通機関の利用は他のお客様に迷惑がかかるからという配慮からであると思われる。

車内が賑やかというのはただ単に飲んでいるからという理由ばかりではない。恒例行事として①走行距離当てクイズ②到着時間予想クイズ③ビンゴゲーム④お題あてお絵描きリレーゲーム⑤ご当地〇×クイズ等は定番企画であるが、最近では幹事の趣向を凝らした珠玉の企画も登場し、大いに車内を盛り上げることになっている。

 

昨年の草津方面旅行ではご当地の名所,名跡、名物名等を事前に社内各位に“書”にしたためてもらい、車中で披露することにより才能有、凡人、才能無しをお互いに予想するというもので、当たらない場合の追加のヒントとして①生まれ変われるとしたら?②オールタイムマイヒーローは誰?③好きな食べ物・嫌いな食べ物④カミングアウトします!等の事前アンケートの集計結果が用意されていた。

今年の目玉はなんといっても「1枚の写真―私は誰~れぇ?」。旅行参加・不参加に関わらず、任意募集した幼少時代の写真を白黒コピーに統一し(時代背景がわかりにくくなるように)、誰のものかを互いに予想するもので、①うん十年同じ顔の“鉄板”さん ②男女の区別さえつかないー昔はこんなに可愛かったオジサン ③みんなの期待を裏切る意表の一枚 と当る当らないは二の次の大盛り上がりとなった。バスは三保の松原(残念ながら小雨模様で富士山は拝めず)、久能山東照宮(河津桜満開で見事でした)と予定のコースを無事こなし宿入りしたが、夕食後の宴会で車中の流れをくむ大ゲーム大会part2(百均で仕入れたパターゴルフセットを使ってのワンパットリレー競争、社内(協力会社を含む)最巨漢当てクイズ、等等、盛り上がり、仲居さんから「片付けたいので、そろそろご勘弁を!」と退場宣言を受けて漸くお開きとなる次第であった。

2日目、お土産を仕込むための「おさかなセンター」、高速参勤交代で有名、日本一長い木製の「蓬莱橋」、とろろ汁の名店の「丁子屋」での昼食と全てのスケジュールを終え帰途に就いたのだが、車中の盛り上がりは衰えることを知らず、観たかった映画のDVD上映やバスガイドさんの名所案内の声は虚しくかき消されていた。旅も終わりに近づき恒例のガイドさんによるお別れのご挨拶の運びとなり、さぞかし“こんなうるさい客は初めてだ”というコメントが出るのかと恐れているとあに図らんや、「30年以上この仕事をやっていて、ベテランから若手まで、こんなに仲の良い、チームワークのとれた団体さんは初めてです。感激しました!」とお褒めの言葉を頂くこととなった。

近年、パワハラやセクハラはどこで線引きをしたらいいのだろう?と多くのサラリーマンがお悩みのことと推察いたしますが、信頼や愛情に支えられた関係を構築していれば、自然に「寸止め」が出来るものだと改めて自画自賛する今日この頃である。

 

つぶやき その九                                         2019年3月27日

安全衛生活動標語

毎年3月末に“安全衛生活動標語”コンテストの審査結果が発表される。今年も昨日、応募総数104作品の中から最優秀作品以下入選6作品が公開された。弊社の安全衛生標語作品は異様にレベルが高いと業界で専らの噂になっている。筆者も毎年ありとあらゆるソースから第三者の作品を研究し、あれこれひねくり回して応募しているのだが、一向に箸にも棒にも引っかからないという状況が続いている。

因みに今年の“最優秀作品”は 

 

安全は 止める勇気と待つ余裕 慌てず焦らず安全作業 

 

いかがであろう?おかしいなと思ったら止めて待つ!基本中の基本であるが、それを実行するためには勇気と余裕が必要であると。しかも下の句は“あ”の3連で韻を踏んでいる。次点の“優秀作品”も気が利いている 

 

慣れで挟まる油断の手 指して強める安全意識 習慣づけよう指差呼称 

 

無意識な「油断の手」と強い意志をもった「指差呼称の手」の対比が秀逸である。

“習慣づけよう”で〆て居るが、(油断=悪い習慣)⇒(指差呼称=良い習慣)への転換の示唆も読み取れる。実に上手い。佳作3作品を一気に並べると

 

見る目 聞く耳 感じる手 些細な変化も見逃すな 確認作業で安全職場

 

ありがとう お疲れ様の一言が 明日を作る 明るい職場

 

そのヒヤリ しっかり報告 きっちり改善 危険を先取る 第一歩

 

3作品ともテンポが良い。また真ん中の作品は“精神衛生”のみにフォーカスしている潔さが素晴らしいと思う。さて、今年も例年通リ筆者作品は馬群に沈み着外と観念していたところ、「特別賞」なるものが設けられたとのこと

 

大丈夫? あなたの安全意識! ちこちゃんに叱られませんか?

 

言わずもがな筆者作品である。今日この頃のご時世ネタなので賛否はあるでしょう!!忖度と言われても甘んじて受け入れます。

                                         完

 

つぶやき 業務の流れ その弐             2019年3月28日

 荷捌(にさばき)会議

 本船入港(正確には着岸)前日の14時に行われる荷役関係者を集めての会議。メンバーは弊社業務部本船担当、施設管理部、荷役作業会社(東洋埠頭)、船内荷役会社(鹿島東洋埠頭=主原料、鹿島港湾運送=副原料)船舶代理店(東洋埠頭、丸全昭和運輸、鹿島埠頭、山九の内の1社)検数会社(全日検)検量会社(穀物検定協会、海事検定協会、日検、油糧検定協会の内の1社)そして燻蒸会社(関東燻蒸)で構成される。本船や貨物に関する情報は複数のソースがあり、名称等で微妙に違いがみられるケースもあるため、“荷捌き計画書”に情報を集約し、この書類を全ての基本とする。荷捌き会議に荷主である商社は参加しないが、弊社本船担当者がその意向を代弁し、本船荷役作業のスケジュールを調整する。①デス・デマ発生のリスク②荷渡し先である飼料メーカーさんの在庫状況③鹿島港内の他バースや他港での競合船舶の動静④天気予報 等等を鑑みて荷役計画を決定し関係者に周知する。税関、植物防疫所、鹿島港港湾事務所、海上保安署等、関係省庁との連携についてもこの場で確認、周知する。当社のアンローダーは400トン/Hが3基あり、1時間で1,200トン。1日デイタイム8時間の揚げ数量の目安は8,000~9,000トンであるので、1万㌧の荷役は1~1.5日、2万㌧3日、3万㌧だと4日間の荷役日数がベースとなるが、前述①~④等の様々な条件で残業荷役を行うことになる。本船はハンディマックスタイプ(190M 5H)やパナマックスタイプ(225~230M 7H)がメインとなるが、荷役中や荷役終了後のハッチ内に残る穀物の残量のバランスを考慮しながら取り口を決めていくことになる。3基のアンローダーがそれぞれのハッチに分かれてヨーイドンで荷役を開始後、○○トン取ったら△△ハッチに移動して××トンを取るといった作業計画の一連の流れをシークエンスと呼んでいる。シークエンスについては船のスタビリティー(前後左右の安定や本船の構造強度の安定)をCPUに計算させて導き出すケースが主流となっており、ほとんどの場合、本船の船長やチーフオフィサーのリクエストをベースに組み立てられる。これは荷捌き計画書に付随する形でDISCHARGING PLANとして作成され関係者に配布される。先ほど今年最後になる50回目の荷捌き会議(ということは今年の入港船舶数は丁度50隻ということになる)が無事終了した。明日から本年度の最終船の荷役が開始となる。

 完

 

つぶやき その拾                                      2019年4月10日 

人にはそれぞれ役割があり、その存在自体が不要だという人は誰もいない。問題は自分の存在意義が認識出来ているか否かである。日々自分の言動を振り返り、改善・改良を試みる。悩むことを止めない。そこに人としての価値があると思う。

この“つぶやき”を始めるにあたって、当社の“看板娘”との件に触れているが、彼女は今カナダにいる。若干“天然”であることは否めない(失礼!)しかしながら、どうでもいい存在感の薄い100人のおやじが束でかかっても彼女には勝てないと思う。“若いからだろう”ということは言い訳にならない。年齢とか性別だとか、生い立ちだとかなんてことは問題ではなく、限られた人生を全力疾走するかどうかが大事なのである。会社には休職制度が無い為、退職しての語学留学である。1年後に更に磨きのかかった彼女との再会を(心にぽっかりと穴の開いた筆者を含む多数のファンとともに)念じて止まない今日この頃である。

 

つぶやき その拾壱                                       2019年5月15日

100kmウオーク

4月20日~21日の土日にかけて“房総ぐるっと100kmウオーク”に2回目の挑戦をし、念願の完歩を達成した。昨年の73km地点での右足の小指の爪が剥がれたことが原因の不本意なリタイヤをリベンジ出来た格好である。100kmといえば鹿島港を出発地点とした場合、東京まで行けてしまう距離である。制限時間は28時間なので、最低でも時速4kmのペースを維持しながら歩き続けないことには時間内にゴールすることは出来ない。昼夜を徹してのイベントである。4月20日(土)09:00、千葉県、大網白里市の“大里総合管理㈱から約350人の勇者がスタートした。最年少10歳、最年長80歳の猛者たちである。第一チェックポイントは13km先。茂原市までの比較的平坦なコースを南下することとなる。交通量の多い道路なので、競技者は歩きやすさを考慮しつつ、歩道の幅を見極めながら道路を右から左(あるいは逆)に何度も横断を繰り返す。足腰や膝、腕の痛みなどは比較的前半からくるもので、歩き始めの10km程度で最初の不安がそれぞれの競技者に覆いかぶさってくる。13km歩くということはスタートから2時間以上は経過しているわけで、多くの参加者はこの第一チェックポイントで軽食を取ることになる。第二チェックポイントまでは全行程最長の18km。茂原市から長南町を経て、菜の花畑の中を牧歌的な風情で走ることで有名な“いすみ鉄道”の始発駅のある大多喜までの長丁場。山道も加わりアップダウンが繰り返されるので、ボディブローのようにダメージが蓄積されてくる。大多喜から第三チェックポイントのいすみ市国府田までの12kmを移動し43km地点に到達した段階で日没を迎え、競技者は運営の人たち(サポーター)が先回りして予めトラックで運んできてくれていた夜支度(防寒着、ヘッドライト、蛍光機能付きタスキ、等等)に装備変更する。日中は比較的(仲間内で)団体行動を取っていた参加者も夜のとばりが下りるとともに次第に無口になり、一人、また一人と、孤独な暗夜単独行路を歩み始めることとなる。第四チェックポイントのいすみ市役所付近までくると丁度50kmの中間点で、山道の行脚も終わり、ここから先は長い長い海岸線に沿っての行程である。第五チェックポイント(太東海水浴場付近・60km地点)、第六チェックポイント(一宮海岸付近67km地点)、第七チェックポイント(白子インター付近74km地点)、第八チェックポイント(九十九里海岸付近83km地点)とひたすら潮騒の音を聞きながら外房の海岸線を北上していると漸く夜が明けてくる。とっくに足は悲鳴を上げており、それぞれのチェックポイント間の移動が永遠の行程のように感じられるようになる。ともあれ、残り17km、海岸線ともお別れで、ここからは内陸を目指し西に進んでゆく。何故か一旦バラバラになっていた同志たちとも次第に再会を果たし、徐々に集団が大きくなってゆく。励ましあうことで勇気はもらえるのだが、足の裏の痛みは如何ともしがたく、歩みは益々“のろのろ”になってゆく。24時間が経過し、午前9時を過ぎるころには暑さとの戦いも加わってきた。あと5km。あと3km。ラスト1km。威勢がよくなることはなく、裸足で石の上を歩いているような“恐る恐る”の歩みが続く。ゴール付近までくるとサポーターの面々が道の両サイドに垣根を作っており、大声援を送ってくれている。長い長いチャレンジが今漸く終わることにえも言われぬ満足感と安ど感が込み上げてくる。24時間38分。2年越しのゴールである。

大地震の発生時、大規模停電、etc.etc. 帰宅難民の話を耳にすることがある。

〝心配には及びません。人間、いざとなったら、それなりの距離は歩いてしまえるものですよ!″と声を大にして叫びたい今日この頃である!

 

おまけ:各チェックポイントで運営サイドより提供していただいた食料

    第一CP ペットボトルの水 チョコレート

    第二CP アイスクリーム 飴 

    第三CP 水、飴、チョコレート、

    第四CP    同上

    第五CP おでん

    第六CP トン汁

    第七CP おしるこ

    ゴール  抜群に美味しいカレーライス

 

 

つぶやき 業務の流れ その参                 令和元年5月23日

 本船入港

 1. 船舶代理店(ローカル代理店) 

本船の乗組員は外国人船員がほとんどで、本邦到着後の様々な手続きを自力で行うことは困難である。そこで船員に成り代わって様々な手続きを代行するのが船舶(ローカル)代理店である。鹿島港における穀物積来本船の代理店は、東洋埠頭㈱、丸全昭和運輸㈱、鹿島埠頭㈱、山九㈱の4社がある。代理店の主な仕事は(1)船長と船会社の連携の補佐(2)役所手続き(3)本船とサイロ会社(荷主代行)のスケジュールの調整や係船料(船の駐車料金)、給水料を含む港費の代理払い(4)本船の各種検査や修理等の業者の仲介(5)本船の食料品調達の仲介(6)病気になった船員の病院への送迎、等、等、実に様々である。過去には船員の逃亡、船員による盗難&窃盗事件、傷害事件、等も有った。入国管理局や警察等の対応まで何でも請け負わなければならないので、会社組織でいうと総務部みたいな仕事である。さて、鹿島港における本船の入港に当たっては先ず「信号を押える」ということから始まる。鹿島港は人工の掘り込み式港湾である。故に航路幅が狭い為、大型本船の相互通行が制限されており、ある程度のサイズを超えた船舶の入出港に当たっては独自の規制がかかっている。信号は4種類あり(I)IN=入港本船優先 (O)OUT=出航本船優先 (F)FREE=規制無し (X)ダメ(多分?)=超大型船(タンカー等)入出航時の当該本船以外の全ての船舶の移動禁止 となっている。弊社に向け入港する本船はPANAMAXタイプ又は同等クラスのサイズとなるので、上記(I)及び(O)の対象となる。(注(I)や(O)の時間帯でも内航船クラスは規制の対象外である)。また代理店は大型船の入出港で規制が発生する場合は他の代理店に事前に周知を行わなければならない。鹿島港沖で入港の順番待ちをしていた本船がパイロットの乗船を受けタグボートにサポートされながら、弊社岸壁に接岸するまでの所要時間はおよそ1時間半。着岸と同時に代理店は本船に乗り込み上記諸手続きの準備に取り掛かる。〝時間との勝負″というのも代理店の宿命である。

2. パイロット及びタグボート

 大海原を航海する大型船舶は自力で航行するが、港湾内での航行にはパイロット(水先案内人)のエスコートとタグボートによるサポートが義務付けられている。それぞれの港に潮流の動きや、浅瀬の存在、その他要注意地点などの特徴がありそれらを熟知している水先案内人のアドバイスを受けながら船長の責任において港湾内の航行及び岸壁への離着岸を行うわけだ。日本国中の港湾にはパイロット事務所なるものが設置されており、港湾の規模や、船舶の往来数により所属している水先案内人の人数が決められている。鹿島港には常時6名~7名の水先案内人が所属している。水先人になるためには船会社での現場の経験(船舶の乗務)が必須で、船会社退職後の延長線上の仕事として位置づけられており、高齢者が多い。勤務時間幅は早朝から深夜までと長く、極寒時や、荒天時のアテンドなど劣悪な環境にも対応する必要がある為、大変な仕事であるが、実労時間はそれ程長くはないので、時間給換算でいくと可成りの高給取りと言えるだろう。本船の離着岸に当たって水先案内人の指示とともに欠くことが出来ないのがタグボートによるサポートである。もし仮に220M以上の巨大な船体をもつ大型貨物船が自力で岸壁への接岸を試みた場合、岸壁そのものを破壊するか、岸壁のクッションの役目を果たしている防舷材にダメージを与えるかは想像に難くないところである。岸壁にも防舷材にもストレスを与えることなく接岸させるためには10cm/SEC程度の接岸速度が要求される。大型貨物船は前方及び後方の側面に配置された2隻のタグボートによる極めてデリケートな操船により〝じりじりと辛抱強く“船体を押されながら安全な岸壁への最接近を実現する。

3. 綱取り作業 

さて、岸壁に最接近した本船であるが、接岸完了の為には本船と岸壁間における「舫い綱」と呼ばれる太いロープ(直径100mm位)の受け渡し及びボラード(又はピット)と呼ばれる係船柱への括り付けが不可欠で、一般的には(スプリングも含め)前後6本づつ(合計12本程度)のロープを括り付ける必要がある。船の甲板上から解き放たれた舫いロープは一旦海上に落下し海水を含むことがあるので、とてつもなく重くなる。昔は力自慢のステべ(stevedore= 船内作業者)が運動会の綱引き宜しく引き廻していたようだが、現在ではフォークリフト等を活用して舫い取り作業を実施している。(余談ではあるが、荒天により〝うねり“等の発生が生じた場合、船体にかかった強い力により本船が前後左右に揺さ振られ、舫いロープが切断されることがある。切れたロープが鞭のように飛んできて、死亡事故になった例もある。強風、高波、うねり等の発生時には、くれぐれも舫ロープの周辺には近づかないようにお願いいたします)

先程、7万㌧級の大型貨物船〝CENTEX HONOR”号が関係各位のご協力のもと無事入港&接岸した。これから約1週間をかけて6万㌧超のとうもろこしの搬入が行われる。当該期間中の好天が望まれる今日この頃である。

 

つぶやき 業務の流れ その四             令和元年8月16日

植物検疫検査

 海外から輸入される穀物には病菌や害虫が付着・混入しているケースがあり、「新天地」には病害虫に対しての競争種や天敵がいないために害虫の独走態勢を許し、急速に蔓延、作物に大きな被害を与える危険性がある。このため処女地(新天地)サイドとしてはこの進入を未然に防ぐために、水際において植物検疫検査を実施している。日本では1950年(昭和25年)に制定された“植物防疫法”に基づいて行われており、農林水産省植物防疫所が横浜、名古屋、神戸,門司、那覇に設置され、この業務を担当している。鹿島港には横浜植物防疫所・鹿島出張所が配置さ

れ水際の穀物検疫の検査においては件数、数量ともに日本最大となっている。検疫検査は外航本船が岸壁に着岸後、速やかに実施されることになっており、荷役開始前が原則であるが、荷役の効率性に対する配慮から条件付きで一部検査前荷役も認められている。検査は本船上で行われる。その港で荷下ろし予定の全てのホールド(船倉)内の穀物が検査の対象となり、植物防疫官による篩(ふるい)を使った検査が実施される。検査の判定は、①合格(虫未発見)、②合格(検疫対象外の虫の混入有)、③不合格(検疫対象の害虫の混入)の三パターンに分かれており、③の場合のみ消毒(くん蒸)命令が出る。

燻蒸(くんじょう)

穀物類の燻蒸に使用される薬剤は一般的には臭化メチル(メチルブロマイド)とリン化アルミ二ウム(ホストキシンという製品名で呼ばれることが多い)の2種類があり、臭化メチルは穀物(とうもろこし、こうりゃん、大麦、小麦、大豆、等々、粒状なので粒と粒との間に隙間が出来るためガスの通りが良い)そのものの燻蒸に使用される。燻蒸の方法としては、穀物のサイロビンへの搬入が完了後、液体ボンベをサイロ下の専用部分に接続した後、気化したガスをブロワーを使ってサイロビン内で循環(投薬)、ガスが内部で均一に拡散されてから密閉状態を維持させる。この際、供試虫(植物防疫所で育てている虫)を入れたテスターをサイロ上から穀層内に投入し、殺虫の効果の確認に使う。(※テスターは全体の長さが1メートル程で、最低でも50cm以上が穀層内に潜るように工夫されたロケット状の穴あき先端(虫は逃げられない)に加工されている)。投薬完了後、ガスによる確実な殺虫効果が確認されるまでには通常48時間の密閉を必要とするが、週末を挟んだ場合の72時間や客先が引き取りを急ぐ場合の薬剤を増量しての24時間燻蒸が実施されるケースもある。虫の死亡確認はサイロビン内全体を実施することは物理的に不可能なので、前述のテスター内の供試虫の生死をもって全体を確認したものとする。(以上開放作業)燻蒸完了後、穀類に付着した薬剤の成分が家畜の健康に害を与えないように再度ブロワーを使って外部にガス排気しないと使用許可は下りない。(この際、残留濃度0ppmになるまで排気を続ける必要がある)。他方、加工され顆粒又は粉末状になった(ガスが通り難い)大豆粕や菜種粕等、主に副原料の燻蒸にはリン化アルミ二ウムの錠剤が使用される。この場合、サイロビン内の容積から導き出された分量のリン化アルミ二ウムの錠剤を穀物の搬入の進捗に合わせて同時投入していく必要があるため(錠剤は一定の時間を持って気化し始めるので、搬入に合わせて万遍なく投入する必要があり、降雨や夜間等、長時間の中断を余儀なくされる場合は当該サイロビンにおける搬入が予定数量に達しない場合でも搬入を終了せざるおえないケースも出てくる(☚デッドスペース発生のリスク)。一部のサイロでは減圧サイロというルーツブロワーを使った特殊な燻蒸設備を有しており、この場合は特定の副原料における臭化メチルによる燻蒸が可能である。よって降雨時や夜間荷役作業における優位性を発揮することが出来る。また、近年、臭化メチルの使用は検疫燻蒸(命令燻蒸)に限定(下記、様々な課題参照)され、使用者の意思による自主燻蒸についてはそれ以外のメソードを取らざるおえなくなっており、リン化アルミ二ウムの庫外投薬機燻蒸(リン化アルミ二ウムの錠剤を予めガス化させておくことにより、ブロワーを使った燻蒸の実施が可能)が食料用小麦のユーザー等を中心に実施されている。

燻蒸に纏わる様々な課題

臭化メチルという薬剤は安価に入手が可能で、殺虫効果が高く、穀物への残留性が低い(排気作業により残留濃度を0にすることが容易)ということで穀物の検疫燻蒸にとっては“夢のような薬剤”であるが、近年、唯一の欠点が指摘されることとなった。使用されたガスが大気中に排気された場合、(フロン同様)オゾン層を破壊するという結果が実証されてしまったのだ。世界的に使用の縮小→撤廃いう方向性が決まっており、使用の条件が厳しくなってきている。(現時点では検疫燻蒸での使用のみが可であるが、いつ何時使用が禁止されるか予断を許さない)一方で“植物防疫法”が制定された昭和25年頃と現在では海路、空路を含め、物や人の往来も桁違となっている。一緒に本邦に紛れ込んできた虫達も数知れず、古いリストに名を連ねていた検疫対象の害虫たちも次々とリストから外されることとなり、上述検疫検査の③の確立は極端に低下している。(それでも0になることはなく、約2割前後で推移している)。このことにより最初に悲鳴を上げたのは臭化メチルのメーカーであった。彼らの採算ベースまでの値上げ(それでもリン化と比べると桁違いに安価)に応じざるをえなかったことは言うまでもない。次いで燻蒸(作業)会社に危機が訪れた。再編&集約&掛け持ち等を駆使し、どうにか作業を継続してもらっているが、厳しい状況に変わりはない。代替薬剤や投薬方法の研究、開発については上記リン化アルミ二ウムの庫外投薬機の開発等も含め業界が様様な提案をしているが、費用対効果面では臭化メチルのサイロ燻蒸の代替にはなり得ないものばかりである。燻蒸コストの上昇は穀物調達価格の上昇に直結する話なので、飼料穀物業界全体で問題の認識を共有し、状況の変化に的確かつ柔軟に対応していく必要がある。業界の内外を問わず、当社の来客者には「臭化メチルの代替品を開発又は発見すれば、間違いなくノーベル賞ですよ」と焚きつけてはいるのだが、未だに良い知らせは聞こえてきていない。

 

つぶやき その拾弐                  令和元年12月26

 応援団長に徹する!!

 つぶやき その拾において短く触れた“看板娘”のカナダ武者修行のその後であるが、結論から言うと2年延長(カレッジに行くらしい)ということになり、弊社へのカムバックの線は消えてしまった(多くのK嬢ファンの心の穴が埋まることはなくなった・・・)。3か月の語学研修を終えた彼女はその後トロント最大のモールにある日本を代表する世界的企業U社の販売店への就職が決まった(12人採用され、彼女以外の11人はカナダ人、しかもバイトではなく正社員採用らしい)

のだが、(外国人だからという理由では)容赦の無い現場に飛び込んだことにより自分の実力不足を痛感し、中途半端で帰るわけにはいかないと残留の心を固めたようである。こうなってしまったからには未練の気持ちときっぱりと決別し、“応援団長”に徹するとイエスに誓う(クリスマス翌日の)今日この頃である。

 

つぶやき その拾参                 令和元年12月26日

 大盛塾

10月~12月の3か月間限定で東京、品川にある親会社に長期出張に出向いており、本日が最終日となる。この間、普段現場では出来にくい様々な取り組みを行ってきたが、今回の出張の目玉となったのが、「大盛塾」の実施であったと言えよう。当初は親会社の豊田通商若手社員向けのミニ講習会で、特にタイトルを付けていたわけではなかったが、知らず知らずのうちに誰からともなくこう呼ばれるようになっていた。10月10日の第一回(植検&燻蒸について)から昨日、最終日の(食の豊かさを支える穀物のあれこれ)まで全20回を実施し、私の現場での過去30年の経験をかなり掘り下げて伝授することが出来たのではないかと自負している。全20回の内容は以下

 第1回  植物検疫と燻蒸について

第2回  在庫管理

第3回  本船荷役立ち合い

第4回  貨物のダメージについて

第5回  鹿島港の歴史について

第6回  飼料コンビナート

第7回  税関業務について

第8回  品質管理&クレーム対応

第9回  サイロとの連携(商社⇔サイロ サイロ⇔同業他社(近隣) 

     サイロ⇔同業他社(全国))

第10回 飼料会社との付き合い

第11回 国際バルク戦略港湾政策

第12回 飼料の安定供給(BCP)

第13回 東日本大震災の教訓

第14回 サイロの1日

第15回 POROJECT NABOO (海外大型投資案件への参加でのエピソード)

第16回 スクランブル交差点―鹿島港(多数の関係商社、競合他サイロ等

     プレーヤーが日本最大で、複雑なかじ取りが求められる)

第18回 日本の畜産はこう変わる!?

第20回 食の豊かさを支える穀物のあれこれ

 と以上講義形式の内容がメインであったが

 第17回 大規模災害への備え(求められる「失われた20年のつけーインフラ整備停滞期」からの脱却)

第19回 AI化の行く先

では討論会形式を試み、様々な意見交換を行うことが出来た。

 営業の若手社員がメインの参加者であったが、課長さんクラスのベテラン社員、(釈迦に説法ではありませんでしたか?)企画部の方々、女子社員にも多く加わってもらえたことにより、今後処理する(これまで無機質だった?)伝票などに何となく物語(現場での苦労やドタバタのイメージ)が宿るようなことでもあれば、甲斐があったというものである。

30数年振りの都会のサラリーマン生活は新鮮かつ刺激的で、「間違いなく本年のハイライトになったなぁー」と去り際がちょっぴり寂しい今日この頃である。

 

つぶやき その十四                  令和2年1月15日

鹿島神宮参拝

 正月といえば、「初詣」は欠かせない行事である。そして当地鹿島港(実際の住所は鹿嶋市&神栖市)に立地する企業の〝神頼み“先は鹿島神宮と相場が決まっている。ウイキペディアでもググっていただければ、鹿島神宮が如何に由緒正しき神社であるか!その歴史的背景からもお分かりいただけると思う。当社では毎年一月の第6営業日(社内の初祈祷)と26日の安全の日(かつて不幸にして発生した粉塵爆発事故の反省からこの日を”安全の日“と決め毎年安全に関する行事を実施している)の2回の参拝を行っている。鹿島神宮は東国3社(鹿島神宮、香取神宮、息栖神社)の中でも東国随一の古社で、いにしえの昔より関東以北(東北や蝦夷)の勢力に対して”睨みを効かせる東国開拓の拠点としての重要な役割を負ってきた。しかるに苗裔神(びょうえいしん)=御子神 が現在の宮城県や福島県の各地に形成されたことにより現在でもこの地域を訪れると数多くの“鹿島神社”を発見することが出来る。鹿島神宮は古来より武神として崇敬され、武道関係者の間で篤く信仰されてきた。全国各地の武道場で“鹿島大明神”と香取大明神“の2軸が一対で掲げられていることからも、今なお〝武道の神”としての信仰を集めていることが伺えよう。サッカーの鹿島アントラーズは20年を超えたJリーグのその歴史においてJ2降格経験の無い数少ないチームであり、数年前のクラブワールドカップにおいては当時の世界のスーパースターを結集した欧州代表レアル・マドリードを首の皮一枚のところまで追い詰め、アジアのクラブチーム初の準優勝を勝ち取り世界中に衝撃を与えた。〝ジーコイズム“とも言われる勝ちに拘るチーム全体の姿勢が選手一人一人に浸透し、常勝軍団と呼ばれていることは有名であるが、あの奇跡については〝鹿島神宮のご利益があった”とでも言わなければ容易に説明がつくものでは無い。(この場合武道を勝負と置き換えていただかなければいけないか?)

鹿島アントラーズのアントラーは鹿の角のことであるが、鹿島神宮の境内にも“神の使い”とされる鹿を飼っている。鹿と言えば春日大社が有名で鹿島はそのパクリではないか?と思われがちだが実は春日大社の鹿は鹿島神宮から春日大社に贈られたという史実がある。なんと鹿島がオリジナルなのである。〝早起きは三文の徳(得)“という諺の由来は諸説あるのだが、昔、神の使いとされてきた鹿が人家の前に行き倒れていることが良くあり、これを供養する相場が三文とされていた時代があったという。早起きした家主が三文を惜しむあまり隣家にそーっと鹿を移動することにより得した金額が三文なのでこの表現が生まれたという説だ。これだと間違いなく”徳“ではなく”得“ということになる。

さて、当社の創業以来、欠かすことなく鹿島神宮を訪れ、正月の有難いご祈祷を頂いておるところであるが、以前の“神宮参拝”は会社の従業員にとっては真冬の荒行よろしくある程度の〝覚悟“の必要な行事であった。理由は2つ。ご祈祷を受ける本殿が隙間風で猛烈に寒いことと、長時間の板の間の正座を耐えなければならない苦痛からである。ところが近年鹿島神宮も今時?の流れからか立派な祈祷殿を新設し、隙間風とも正座とも無縁のご祈祷が受けられるようになった。はたしてご利益は?とも考えない訳ではないが、とりあえずは有難いことである。一年に一度だけ、必ず鹿島神宮にて”おみくじ“を引く習慣を30年以上も続けている。そして未だに〝凶”に当たったことが無い。今年はというと〝 大吉 神山の真榊(まさかき)の如し  敢えて花々しいところはないが、犯しがたい心あるが故に何日迄も人に敬われて一生涯幸福を受けるのである“ とある!! これを最後に来年以降〝おみくじ”を引くのは止めよう!と思う今日この頃である。

 

 

つぶやき  業務の流れ その五                                               令和2年1月22日

本船荷役

岸壁にある係船柱への舫いロープの括り付けが完了し、タグボートが本船から離れると荷役準備のための乗船となるが、乗船前に必ず確認しなければならないのは、検疫が終了しているか否かである。昨今は無線検疫が主流となり、入港以前に検疫が終了するケースがほとんどだが、稀に着桟検疫が実施されることがある。この場合、本船ブリッジ前方に寄港地の国旗である〝日の丸“に並べて”黄色い“フラッグが掲揚され、厚生労働省の検疫官による(ほとんどの場合書類の)審査が終了するまでは、何人も本船への乗船を許されない。検疫終了後に〝黄色いフラッグ”が下ろされると乗船は可能となるのだが、弊社では酸欠事故を防止する目的から先ず最初に酸素測定チームを乗船させ、各ホールド入り口の酸素濃度が安全基準を満たしていることを確認するまでは立ち入り禁止を解かないルールとしている。荷役を開始する前にはハッチの蓋をオープンしなければならないが、これは船員の手によって行われる。本船のタイプによってハッチ蓋の形式は様々だが、昨今ではパナマックスタイプ以上=サイドローリング式 ハンディタイプ以下=ジャックナイフ型に統一されてきているようだ。

 ハッチオープン時に初めて積み荷とのご対面となるわけだが、この際確認しなければならないのは1)ダメージの有無(変色や水濡れ) 2)コンタミ(別の貨物の混入)の有無 3)ダストや夾雑物(ゴミ)の量の多少などである。取引の慣習上、シィップバック(積み地への返品)は出来ないのだが、ダメージ品があった場合にはサァーべィヤー(海事検定人)に原因調査を依頼し、場合によっては保険求償の対象とするし、ダメージ扱いとならない場合でも品質が良くない場合はユーザーである飼料工場さんに使用方法を相談する必要があるからだ。

 

 ※穀物の本船ダメージの要因色々

1)船の構造上、起こりうるダメージ

あ)ハッチコーミングやベンチレィターからの海水の侵入(航海中に荒天に見舞われ、波やうねりの影響で海水がホールド内に侵入するケース。ホールド内で水濡れした部分が流動性を失うことにより〝柱状“に固まる。

い)エンジンルーム(ハンディタイプ=5H パナマックスタイプ=7Hと接するホールドのとも側(後方))の壁に穀物が付着し、穀温の上昇とともに若干の変異が発生する。エンジンルームの熱が壁に伝導して発生する。

う)オイルタンク(本船の後方複数ホールドのボトムの更に下)からエンジンルームに燃料を送り込む際、燃料の流動性を確保するために急激に重油の温度を上昇させることによりボトムの鉄板の温度も比例して上昇。とうもろこしなどがコーヒー豆のように変色することがある。

え)ビレジ(本船のボトムにある給排水用のバルブ)の故障等によるボトムよりの海水の侵入

2)カーゴネイチャーに起因するもの

あ)穀物の水分含有率過多によるヒートダメージ

い)穀温と外気温(航海中の場合は海水温)の温度差により発生する結露が引き起こすヒートダメージ

う)あ)と い)が複合的に作用するもの

 

積み荷の検品が済むと荷降ろし作業の開始となるが、これに使用される大型荷役機械はアンローダーと呼ばれる。当社には遠心力による掻き揚げ式の機械式アンローダー2基と掃除機を巨大化したようなバキュームタイプのニューマチックアンローダー1基の合計3基(それぞれ400㌧/h&走行式)が配備されており、1時間当たりで最大1,200㌧(トラック100台分)の荷降ろしが可能となっている。本船のホールドは5H~7Hあり、荷降ろし数量に応じて荷役プラン(どのホールドから何トン吸い上げるかの計画)が決定されるのだが、この際本船の前後左右のバランスと次港(がある場合は)まで安全に航海が可能な積み荷の配置を考慮した計画(シークエンス)が作成され、それに則ったアンローダーのホールド間移動を繰り返しながらの荷降ろし作業となる。荷降ろしの前半はホールド内に貨物がたっぷり入っているため、アンローダーの単独作業でも能力の100%が発揮できるが、後半になって貨物量が減り、自然流化による流動性が低下し始めた段階ではアンローダーに設置されているジブクレーンを使ってのブルドーザーの投入を行い、搬入の能力低下をブルドーザーの掻き寄せ作業でカバーする。さらにホールドの底が露出されると鉄板上の走行が苦手なブルドーザーをタイヤ式のパワーショベルに置き換え取り切り作業を実施するのだが、小さな粒のとうもろこし等の穀物を完全に揚げ切るためにはパワーショベルによる掻き寄せにも限界があるので最終段階では箒等を使った人海戦術を駆使することとなる。 

穀物を安心して保管するためには乾燥状態(仮死状態)を維持することが必須のため、降雨荷役はご法度である。しかるに荷役作業は常に天候との“にらめっこ”となり天気次第で作業計画は刻一刻と変化していく。荷主である商社が用船契約を船会社と結ぶ際、積み地及び揚げ地での作業の時間制限が盛り込まれており、超過した場合にはデマレージ(逆はディスパッチ)といってペナルティーとしての追加支払いが発生するため、これをミニマイズするために荷主からの残業作業依頼が増加することになる。 

1時間当たりの搬入数量は貨物の比重や形状に左右される。とうもろこしや小麦が基準となり1時間当たり400㌧と設定されているため、それよりも比重の軽い大麦等の揚げの場合若干の能力低下となる。また、比重も軽く形状も異なる(粒ではない)副原料の荷揚げでは大幅に能力ダウンになることもある。 

当社では創業以来3,600万㌧を超える貨物の荷降ろしを実施してきた。仮にこの量を12㌧トラックに積載したと仮定するとユーラシア大陸の西の端から東の端までを繋ぐ規模となる。文句ひとつ言わずここまで数量を積み上げてきてくれたアンローダーに感謝感激の今日この頃である。