業務部長のつぶやき

つぶやき その二十六                令和5年10月13日

 

 

豚が空を飛んでやってきたという話

 

長引いたコロナ渦の影響で弊社の恒例行事である社内旅行は3年間実施見合わせの状態であったが、今年4年ぶりの復活となり、“再開の肩慣らし”としては安近短の箱根&鎌倉辺りが丁度いいのでは!?との意見が大勢を占めたので、先週末、関東GT自慢、企画盛沢山の1泊2日のバス旅行の実施と相成った。今年も幹事さんの名演出&名采配により至れり尽くせりのとても楽しい旅となったのだが、ブランクが長かったせいもあり、2日目の帰路の車中は例年通りの勢いが失速気味となり、映画のDVD上映(これまでの旅行では略不要の産物であったのだが・・)が実施された。リクエストはスタジオジブリの代表作の一つ、”ハウルの動く城”。筆者も当然のことこれまでに何度も観た内容と思っていたのだが、ストーリーが進むに連れて、「いや、これ最後まできちんと観たことなかったなぁー」ということになり、途中からは食い入るように見入った次第である。同様に全部制覇したと信じ切っていたジブリ映画の中で、今一つストーリー展開の記憶が曖昧な作品に「紅の豚」がある。これも一度、きっちりと見直してみる必要があるな!と感じている。

さて、「紅の豚」といえば戦闘機乗りの〝豚”君の映像が思い浮ぶのであるが、現実の世界で”空を飛んでやって来た豚”の事実があることを皆さんはご存じであろうか?時は今から63年前の1960年、アメリカ空軍の全面的なバックアップを受けての前代未聞の豚の空輸作戦が実施され35頭の生きた豚が米国アイオワ州から日本の山梨県にプレゼントされ、その豚の子孫は9年後には50万頭まで増えたと試算されている。支援の切っ掛けとなったのは前年である1959年に日本を襲い未曾有の被害をもたらした伊勢湾台風の存在である。当時山梨県とアイオワ州は姉妹都市関係にあったため、この一件、表面上は両国間の友好の架け橋として感謝感激で日本に迎え入れられたのだが、その後、養豚に飼料原料として必要な1,500㌧のとうもろこしが海上輸送で送られてくることで、”個人経営”規模の養豚が”企業経営の養豚”へと大きく舵を切っていったわけである。今から思えば、35頭の空を飛んできた豚も1,500㌧の海を渡ってきたとうもろこしもアメリカにとっては「安い贈り物」だったなぁーとしみじみ思う今日この頃である。

    

つぶやき その二十五                 令和5年6月13日

 

 

江戸時代には上流階級よりも庶民のほうが豊かな食生活をしていたという話

 

 

長引いたコロナ渦は様々なところで人々のルーティーンを狂わせてしまった。

小職の周辺でも漸く最近になって○○年振りの出張や研修会が再開され、電車やバスの乗り方もぎこちなくあちらこちらに出かけ始めている。振り返るとコロナ以前にはあれだけ頻繁に訪れていた当社への見学者や研修者も相当な期間ご無沙汰をしていたということになる。コロナ前は弊社の親会社である商社の新入商社マンたちも入社早々に現場研修が企画実施されるのが常となっていたのであるが、入社3年目迄の彼らには不幸にしてその機会が与えられることがなかった。アフターコロナ渦の今日この頃ではあるが、中堅社員にもなりつつある彼らにとっては新入社員と一緒の現場研修には今更感もあるだろうということで、発想を変えての“出前勉強会”を実施することとした。4月、5月と月一回のペースで開催したが、5月のテーマが〝畜産の歴史“という難題になっていて、2回目にして小職自身もそれなりの文献を引っ張り出して読み込まないと対応できないという墓穴を掘ってしまったのだ。去る5月29日に開催された品川での勉強会、会場参加とウエブ参加それぞれ半々ずつの約30名に対して〝付け焼き刃”且つ〝自身での落とし込み不足“の状態で臨んだことで、説明中も頭の中では梅沢富雄の代表曲「夢芝居」のサビの部分〝稽古不足を幕は待たない~”がガンガン流れることとなったのである。

 

さて、言い訳はこの程度にして、このテーマを通して興味深く感じたことは日本人は長い期間を通してこと食文化における満足度という点においては上流階級と庶民の間でユニークな逆転現象が起こり続けていたという事実である。

 

動物性たんぱく質は肉や魚から得ることになるが、畜産がスタートする以前は狩猟や漁がこれらの典型的な獲得手段であった。狩猟で得ることの出来る肉の代表格は〝鹿“〝猪”“熊””ウサギ“〝雉”等の野生動物であり、これらを捕獲して食べる習慣は“いにしえの”昔からあり、縄文や弥生時代にはこれら〝狩猟“と新たな蛋白源獲得手段としての“畜産の黎明期”が混在していたと考えられている。畜産がどの様な形で広まっていったかについては諸説あるが、農民が手塩にかけて耕作した田畑の作物を野生動物に荒らされることに対抗しての罠による生け捕り→残飯等を与えての飼育→一年を通しての食糧としての利用 という説が有力であるが、上記動物の多くは気性が荒すぎて飼育には難があったため、現在の家畜の代表動物である〝鶏“〝豚”〝牛“の祖先の諸外国からの輸入を始め、様々な形で導入され家畜として定着して行くのであるが、これが現代の配合飼料を給餌しての安定的且つ大規模な産業としての畜産に至るまでにはそれからも長い長い棘の道を辿ることになるのである。

 

日本国内における食肉の文化は仏教伝来以降、様々な形で抑圧され、江戸時代の後期まではなかなか表舞台に出てこられないという不遇な歴史を辿ることになる。とりわけ、①675年の天武天皇の治世に仏教の教えを受けて発せられた「殺生禁断の詔(みことのり)」と、②〝犬公方“として名高い江戸幕府五代将軍徳川綱吉により発せられた「生類憐みの令」は、〝殺生を良しとしない”我が国仏教文化の歴史の営みにおいても〝箍を締めなおす“大きな二つの山の役割を発揮した出来事であったといえよう。

貴族や上級武士など上流階級に近い人ほどこの教えに忠実にならざるをえず、公に肉を食することが憚れる一方、庶民においては様々な知恵を凝らしながら、食肉文化をエンジョイしたという皮肉な痕跡が様々な文献等から見て取れるのだ。

この野生動物を食していた江戸時代の庶民たちは上流階級の人達に遠慮して(または、バレないように)「薬食い」(滋養強壮目的)と称して忌み嫌らわれていた

獣の肉を楽しむため、わざわざ隠語まで用意してこの文化をカモフラージュしていたのである。

昨今、“ジビエ料理”が一部の人たちの間でプチブームになりつつあるようだが、

現在でも一部の食通の人達が使っている「ぼたん=猪」「もみじ=鹿」「さくら=馬」等の呼称はこの名残である。また、ユダヤ教などと同じように四つ足の動物は食べてはいけないという教えを逆手に取り、猪を「山くじら」と称したり、四つ足のウサギを鳥と同じように1羽2羽と数える風習を作ったりと、当時の庶民の洒落や皮肉の才能が如何なく発揮され、今日の食文化に根付いてしまっているのは痛快と言わざるを得ない。

 

「野生動物が住宅街に現れて住民と鉢合わせをした」といったようなニュースが毎日のように報道されているが、最近では小職の自宅から数キロも離れていない畑の周辺でも猪を見たといった話を頻繁に耳にするようになっている。いにしえの昔を振り返るまでもなく、我々と野生動物の付き合いは脈々と繋がっており、その距離感がほとんど変わっていない意外な事実に改めて驚いてしまう今日この頃である。         

 

                                   完

 

 

つぶやき その二十四               令和5年3月20日

 

 

鹿島港植物検疫協会“創立50周年思い出集”への寄稿

 

全国の穀物を取り扱うサイロの立地する港湾には必ず「植物検疫協会」なる組織が存在する。植物検疫は穀物を輸入する際には通関と並んで決して避けては通れない行政の関門であり、これを管轄するのが農林水産省、植物防疫所である。(詳しくは 業務の流れ その4をご参照ください。)この極めてユニークで専門知識を必要とする“植物検疫”を円滑に遂行するために役所と民間の架け橋的な役割を担っているのが植物検疫協会であり、その港湾の貨物取扱量に応じて協会の運営の有り様はそれぞれ独自のスタイルを取っている。鹿島港の場合、日本一の穀物の取り扱い数量は年間約400万㌧を維持しており、同じく植物検疫の対象品目である木材の取り扱いが加えて約70万立米もあることから、間違いなく日本で最も忙しい植物検疫協会であり、その50年の歴史には様々なエピソードが関係者の心に刻まれていることは想像に難くない。今回の編纂に当たり、小職にも寄稿の依頼をいただいたので、以下寄稿文を転載することとします。

 

 

「庄司さんと冨里のホタル」 

                       関東グレーンターミナル㈱ 大盛浩典

 

弊職がバリバリの現場担当者だった平成の初めの頃、鹿島港植物防疫所の所長は庄司宏明氏であった。当時(植防さんに限らず)役所は規制緩和に舵を切り始めたばかりの過渡期で、企業からくる“植検前荷役”や“土曜日の本船検査”等様々な要望にどの範囲まで答えればいいかの判断で葛藤の毎日を送られていたように記憶している。次から次へと押し寄てくる“

無理難題“に対し、簡単に引き受けてしまっては部下の職員に示しがつかない一方で、経済原則に重きを置き始めた官民一体の流れがあるので、民間の要望を無下に断ることも憚れる中、“お願い”に行くと先ずは一旦渋られる。”無理無理“と言われつつ所長室に通され暫しの押し問答の後、「特別だからね!」とか「今回限りだよ!」とかの台詞とともに引き受けて頂ける。出来レースと言えば言い過ぎになってしまうが、まるで儀式のようなやり取りをお互い何十回演じたことであろうか!

庄司さんは平成3年から7年まで鹿島で勤務されたあと、北海道の小樽や新潟等を渡り歩かれたと聞いている。鹿島を離れた後は毎年の正月に賀状を頂戴するようになり、必ず

“地味-っな”オリジナルの植物写真の上に近況報告が書かれていた。植物博士として野山を散策して発見した希少種や珍種の草花の写真なのであろうが、やはり私のような素人にはどれも同じに見えるわけで、庄司さんの感動が共有できないことを何度申し訳なく感じたことか。

平成から令和に年号が切り替わった年の春、自宅の玄関前で庄司さんと二十云年振りの再開を果たした。茨城町に御兄さんがいらして、おせんべい専用のもち米を作っているのを年に何回か手伝いに行く際、大盛家の自宅前を通っていたのだという。「いつも気になっていたのだけれど、今日は思い切って玄関のチャイムを鳴らしてみました!」と満面の笑みの庄司さん。記憶は直ぐに蘇り、まるで昨日の事のような昔話がお互いの過ぎた時間をあっという間に繋げてくれた。「良かったら顔を出してみて!」と別れ際に渡された名刺には“NPO法人冨里のホタル”と書かれていた。

それから数カ月が経ち、そろそろ“ホタル”が気になる時候になってきたある休日、思い切って千葉県、富里市に出かけてみた。庄司さんを始めとするリタイヤ組の諸先輩方が組織する里山の“谷津田”を再生し、平家ボタルを復活させることに情熱に傾けている集団、“冨里のホタル”への参加は私にとっては宿命だったのかもしれない。

一口に谷津田の再生といっても生易しいものではない。湧き水を掘り返し、水路を作り、田んぼを作る。間伐し、木道を整備する。除草は一年を通しての作業であるが、その際には希少植物を間違って刈らないように庄司博士の指示を仰がねばならない。田植えや稲刈りは勿論手作業。“おだがけ”や”脱穀“も昔ながらの方式である。そんな一年の汗と笑いの結晶のような“ホタル”の見頃は二週間程度。儚さに価値を見出せるのは日本人固有の美徳である。

“冨里のホタル”への参加も4年目となった穏やかな春の日、突然の訃報が舞い込んできた。庄司さんが亡くなったのだ。「あんなにお元気だったのに!」

今年の夏のホタルも見事な輝きで例年通リに来場者の目を楽しませてくれた。その中に一際強く、一際人懐っこく輝く固体が紛れ込んでいたと感じたのは私だけではないだろう!

 

心よりご冥福をお祈り申し上げます。

 

 

つぶやき その二十三               令和5年3月1日 

 

 

海上における油防除の基礎知識

 

コロナの感染状況が落ち着きを見せ始めたことにより最近は講習会や研修会が復活の傾向にある。先日掲題の講習会に参加し、大変分り易い内容だったので、ポイントを簡単に紹介してみたい。

 

弊社のように海の仕事をしていると、海難事故のリスクが常に付きまとうわけであるが、海難事故につきものなのは大量の油又は有害液体物質の海上への流出である。重大なる環境破壊に繋がりかねない係る事象の発生時にはこれを最小限に食い止め、船舶交通の安全確保及び環境保全の為に最大限の努力を払うこととなる。それでは以下の〝油防除のマネージメントサイクル“を通して効果的な油防除の流れを学んでみよう!

 

(油防除のマネージメントサイクル) 

 

【流出油事故発生】

 

  • 状況把握 流出油の評価や漂流予測、またそれによる環境・経済活動への影響の可能性の有無を予測するための状況把握を行う。空から見るのが理想的で、最近はドローンを利用するのが有効。また、地図や海図等を利用して

地域の特性を知っておくことも重要である。(取水口の位置などが分かれば、事前にオイルフェンス等で流入を防止することが出来る)

 

  • 防除方針の決定→防除活動 使用する油防除資機材や回収した油の処分方法

が決定したら関係者間で具体的な防除作業についての情報共有を行う。実際に防除作業を行う部隊に加えて1)交通規制 2)ボランティア受け入れの窓口 3)野次馬対策の人員の配置等にも配慮する。

 

  • 拡散防止 流出油の拡散防止のツールとしてはオイルフェンスが唯一無二の

の資材となる。急速に拡散する流出油の汚染被害を最小限に抑えるためには効果的なオイルフェンスの使用が鍵となり、状況次第では二重展張を施すことも想定する必要がある。

 

4)回収 流出油の回収にはa)機械的回収とb)物理的回収があり、一般的なのは物理的な回収である(機械的な回収の装置を所有している組織が限られている)。物理的な回収の資材としては1)オイルスキミングネット 2)オイルスネア 3)油吸着材がある。最も一般的な油吸着剤はa)マット型 b)万国旗型 c)ロール型の3種類があるが、マット型の場合油を吸着すると視認性が低下し、回収が困難になるケースがあるので、予めロープやホッチキスなどで繋げておき、回収を容易にする等の工夫が求められる。

 

  • 回収物の陸揚げ作業 回収物の陸揚げに際しては2次汚染防止の観点から

岸壁等に予め養生用のブルーシートを敷き詰めた土場を準備し、陸揚げした油吸着材を油→ドラム缶へ マット→ゴミ袋(トランスバッグ等)に分離再回収作業が必要となる。

 

(油の基本的な知識 ― 油の特性を知って効果的に処理しよう)

 

  • 油の種類と性状 油には持続製油(黒もの)と非持続製油(白もの)があり、前者は重油や潤滑油に代表されるドロドロしていて蒸発しにくい特徴をもっており、後者はガソリン、灯油、軽油等を指し、反対にサラサラしていて蒸発し易い特徴を持っている(蛇足ではあるが、ガソリンも本来は透明であるが、その危険度が認知できるようオレンジっぽい色付けをしている)
  • 油の経時変化 油の種類によっても違いはあるが、油は時間の経過による

自然浄化作用によって自然界のものに還元されるものである。しかしながら多くの場合、経済活動再開の為にその猶予は与えられないことから、回収を始めとする処理作業が必要となってくる。油の経時変化には a)空気や海水中の酸素による酸化分解 b)蒸発 c)微生物による消化分解 d)波浪等による分散 e)沈降などがあるが、厄介で回収等の処理を必要とする変化としては f)乳化(水中油型、油中水型)g)風、潮流、重力、表面張力等による拡散・漂流が揚げられる。

  • 乳化 前述の水中油型(oil in water)はマヨネーズや牛乳をイメージしてもらうと分り易いが、油の表面積が拡大し、生分解や酸化分解による自然分解が促進されるため、処理が比較的容易である一方、油中水型(water in oil)

はバターのイメージで、体積が3~4倍になり粘度も増大するため、防除作業が困難となり、作業が長期化する傾向にある。

  • 油処理剤使用時の注意事項 油処理剤は界面活性剤等の中和剤を使用するが、基本は原液散布である。出来れば専用の散布装置(霧状に散布するのが有効)を使用し、散布後に撹拌を行えれば、効果は増大する。
  • 流出油の識別評価 流出した油が回収しなければならないレベルか、拡散で対応可能なレベルかの判断の一つの基準をしては目視による色彩レベルの評価がある。一般的には油膜の色が黒ずんで見える状態は回収対象であり、水面がキラキラ光って見える状態は拡散による処理でOKと判断できる。

 

弊職が船舶に関わる仕事に従事して以来30数年が経つが、幸いにして大規模な油防除の現場に立ち会うような状況とは無縁に過ごさせていただいている。転ばぬ先の杖ということで、今回の紹介となったが、関わることなく定年を迎えたいと切に願う今日この頃である。

 

                                   完

 

つぶやき その二十二              令和4年12月23日

 

老化に抗う毎日

 

還暦到達後の昨今、自身の肉体の衰えにため息をつかない日はない。たまに友人と顔を合わせるとお決まりの〝不健康自慢“の話題に花が咲くのは筆者に限ったことではないであろう。本年の最終回としては甚だネガティブな話題となってしまうが、弊職の愚痴に暫しお付き合い願えると幸甚である。

 

髪 弊職は株式の運用を20代からやっていて、その乱高下に神経をすり減らすことは日常となっているのだが、あの悪夢とも言える9.11の日の大暴落が切っ掛けで“ふさふさ髪”とおさらばすることとなった。流出を食い止めるためのノウハウについてあらゆる文献を読破し、高級頭髪料を取っ換えひっかえ試してみたものの、現状維持が精いっぱいで、プールなどには恐ろしくて飛び込めない状況である。因みに白髪化も急速に進んでいて〝利尻昆布“を原料とした高級シャンプーを愛用している。

 

目 老眼が着実に進行中である。読書も午前中は捗るものの、午後になると徐々に文字が歪みだし、空が黄昏れるころには本を閉じざるおえない。視力の検査は

当てずっぽうが功を奏することが度々あって、不思議なことに、右目が良くなったり、左目が良くなったりしている。

 

歯 幼少期からカルシウムの取り込みが苦手な体質だったようで、小学校の後半

時点でかなりの本数を虫歯に駆逐されてしまっていた。その後の歯医者嫌いによる放置プレーの付けがたたり、3年前にかかりつけの歯医者さんから2年後の〝総入れ歯“を宣告されてしまったが、インプラントの名医との劇的な出会いから

その2年後を迎えた現在、ステーキや固焼きのせんべいが食べられるまで回復している。歯間ブラシの扱いが苦手で、毎回、歯医者さんのお姉さんに叱られていることは秘密である。

 

脂肪 “食べないのに痩せない”が悩みの種である。食事会でも同僚の半分しか食べないのに体重は増え続けている。中性脂肪も軽く基準値を突破してしまったため、覚悟して薬のお世話になっている。

 

血圧 高血圧の血統である。祖父は戦死しているので分からないが、それ以外の家族は(親戚も含めて)見事に高血圧を自負している。毎朝薬を服用するので、朝の血圧は割と低めに出るが、夜に向かってじりじりと上昇していく。

運動不足や寒さはてき面に悪いように作用するので、冬場は特に神経質になってしまう。

 

肝臓 この沈黙の臓器の健全性の指標であるγGTPの数値は人間ドックに行くようになって以来、酒量に反比例するような奇跡の安心ゾーンに留まっていたが、57歳を向かえたコロナ渦の奔りの時期、突如としてレッドゾーンに突入し、少量の飲酒でも腰が抜けてしまうようなわが人生のピンチともいえる不測の事態に陥ってしまった。この時、内科の名医が出した診断は、な、なんと「飲みが足りない」という驚くべきもので、それに忠実に従った結果、今では腰が抜けるようなこともなく、γの数値も元の安心ゾーンに戻っている。コロナ渦で極端にアルコールを遠ざけた結果が招いた世にも不思議な体験である。

 

腎臓 一時期肝臓の健全性の指標であるクレアチニンの数値が高くなり、要精密検査という診断をされたことがある。原因はそれまで処方されていた中性脂肪の薬の副作用というもので、あわや医療事故になりかねない、冷や汗ものであった。このことがそれまでのかかりつけ医から離れ、件の内科の名医と出会うことにもなった背景である。

 

腰痛 若い頃から“椎間板ヘルニア”を患い、病状の悪化時には朝起きた時仰向け

だったらベットから降りられないとか、車の運転中に固まってしまい、降りるのに難儀するとか、胡座がかけないので、正座して宴会に臨むとか、それはそれは

辛い思いをしていた。ところが10年ほど前にテレビのある特集を見たことが切っ掛けで、この苦しみと“おさらば”することが出来てしまったのである。教えは単純、「痛みは腰が感じるのではなく、脳が感じる」というものだ。腰痛でお困りの皆様、信じる者だけが救われます。

 

排出物 世の動物は体の大小に拘らず、全力でおしっこをした場合、12秒でフィニッシュ出来るという話を聞いたことがある。加齢とともに頻尿とか夜尿とかおしっこの悩みが増えてくるのであるが、特に日中はなるべく我慢して、この12秒の法則を実践するように心がけている。また趣味の乗馬による下半身への適度な刺激が効果的に作用していることがあるかもしれない。

 

これからもありとあらゆる肉体的な困難が銚子の犬吠埼に打ち付ける波浪のごとく次から次へとと押し寄せてくるのであろう。ゆく年もくる年も健康第一と改めて思う今日この頃である。

 

 

つぶやき その二十一              令和4年12月20日

 

IT社会に翻弄される定年間近のアナログ〝部長“

テレビCMの有名なセリフで「サポートがついていますからアナログ人間の部長でも安心ですよ!」というのを頻繁に耳にする。弊職の場合、正にそのまんま当てはまってしまうから、情けないやら、恐ろしいやら、複雑な気持ちでこのCMを眺めているのである。現実の職場では「エクセルで作ると色々と便利ですよ!」と女子社員などにアドバイスをもらっても、この“つぶやき”のように大抵の書類はワードでお茶を濁してしまう。冷汗と脂汗を出しまくりながらエクセルで漸く作った帳票などは、極力流用し、コピーと上書きを酷使しながら擦り切れるほど使い古す。パワーポイントレベルは論外で、映画やドラマの制作過程で使用する「絵コンテ」もどきをコピー用紙の裏使いで作成し、部下を拝み倒しては特別発注で乗り切るという始末なのである。特に〝パスワード“という奴らが苦手で、一日も早く”生体認証“が一般化する日々を待ち焦がれている。

そんなこんなの難儀なITとの葛藤の最中、弊職のノートパソコンのご機嫌が悪化の一途を辿り、(長考)の頻発で業務に支障をきたしかねない状況が発生していた。一昔前に流行った漫画(映画化もされた)の有名なセリフで「埼玉県民は草でも食ってろ」というのがあったが、それと同じで「アナログな部長には新しいパソコンは宝の持ち腐れ!だ」と言われるのが恐ろしくて、パソコンの更新の申請を中々持ち出せずに悶々とした日々を過ごしていたのであるが、意を決して申請した結果、今まさに最新型のデスクトップ型のパソコンが目の前にそびえ立っている次第なのである。僥倖、驚愕、至極の感動、言葉に表せない“サクサク感”を目の当たりにして、サラリーマン人生の最終局面を改めて真摯にITと向き合おうと決意する今日この頃である。

 

 

 

つぶやき その二十               令和4年11月11日

 

“植物がコミニュケーションに長けている”という話

 

先日、NHKで超・進化論という番組をやっていた。ダーウィンが「種の起源」や「進化論」を唱えてから1.5世紀以上が経過しており、その間この分野の研究者たちの発見や解明も積み上げられてきたわけで、やや“陳腐化”した感のある進化論に最新の研究の成果を重ねる形でこの番組は構成されている。初回の11月6日放送分は「植物からのメッセージ~地球を彩る驚異の世界~」というタイトルで植物の意思の伝達等を中心に大変興味深い内容であったので、以下主だったエピソードを紹介したい。

 

〇 植物の自己防衛の妙技

  ハムシに葉っぱを食い荒らされている樹木は自ら発する何種類かの物質を合成し、毒素を作り出して虫に対抗するのみならず、周辺の樹木にもこの状況を伝達し、危機意識の共有を図ることが出来る。それでも状況の改善が図れない場合はハムシの天敵である“てんとうむし”の好む匂い成分を発散させて、ほとんど視力の無いてんとうむしをおびき寄せ、ハムシの駆逐に手を貸してもらうという荒業を駆使して難局を乗り切っている。

 

〇 森の植物の連携―栄養分の御裾分け

 森の中では日当たりが悪く光合成のしづらい場所に生息している樹木が多数あるにも関わらず、これらが枯れずに成長出来て、全体として豊かな森を形成している。その背景には樹木の根っこの先端に″菌糸“が付着しこれらが他の樹木に付着した菌糸と繋がることにより森の全ての樹木が結合し、日当たり良い、光合成の十分に出来ている樹木からそうでない樹木への″栄養”の配給がなされているからだという。菌糸の働きによって森が強大な結合体と化し、自らの生命を維持しているという驚くべき事例である。

 

〇 山火事で焼き尽くされた森がまんまと再生する!

 前述の菌糸の働きで森の樹木は繋がっており、森が焼失しても生き残った樹木から地下の根っこを経由して地中で待機している“種“や成長に必要なその他の様々な物質に対して「今こそ、目覚めよ!」という趣旨の信号が送られるのだという。再生する森はある意味での若返りが図れるので、焼失以前よりも再生後のほうが成長の勢いが増すのだという。

 

〇 恐竜時代に起きた植物の大革命

 4億5千万年前に水辺から地上に上陸を果たした植物の祖先は恐竜全盛時代の白亜紀(1億5千年前ごろ)に〝花“の誕生を切っ掛けに爆発的なその種類と生息エリアの拡大に繋げることに成功した。花は花粉によって昆虫をおびき寄せ、「華やかな色」の競演で魅惑することによって昆虫の「飛翔能力」を進化させたという。結果として植物が〝陸の王者”の地位を確立することに成功した。

 

現在陸上の総重量(人工物以外)の95%以上は植物が担っている。圧倒的な〝陸の王者“であり温室効果ガスを吸収できる唯一の頼みの綱である。人類の英知と力を合わせ、温暖化という地球の危機を乗り切る為に、その計り知れないポテンシャルを十二分に発揮し、この難局を乗り切る為に踏ん張ってほしいと切に願う今日この頃である。

 

 

つぶやき その十九                令和4年9月30日

 

「漫画」の勧め

 

コロナ渦を好機と捉え、読書に励む諸兄は沢山いらっしゃると推察致しますが、筆者の場合、モードに入らないと本のページを捲るのが億劫で、この何年かは数週間続けると数カ月お休みというサイクルが定着してしまっている。ところで今回は読書といっても漫画の話なのであるが、昨年世界中で大ブームを巻き起こした「鬼滅の刃」、映画で見るのは何となく気恥ずかしいので漫画を読んでみることにした。幸いにして姪っ子が全巻持っているということで、借用して読んでみたのだが、感想はというと「最近の漫画は、まあ、こんなもんか!」とあまり期待してもいなかったので、想定内といったところであった。多くの同世代に賛同をいただけるのではないかと思うのだが、筆者の少年時代は少年漫画の黄金期で週刊少年ジャンプ、少年サンデー、少年マガジン、少年チャンピオン、少年キングと月曜から金曜日まで1日も空けることなく少年誌の日替わり刊行がされていた。当時の値段で一冊百円そこそことは言え、個人で全種類購入するにはお小遣いが足りるはずもなく、苦肉の策として○○さんがジャンプ、□□さんがマガジン、××さんがサンデーという具合に自然と分担が決まり、お互いに交換し合っての全種類購読が可能になるという仕組みが確立しており、グループの中に遅読者が混ざっていたりするとローテーションの乱れから、しばしば大混乱が発生するという事態が生じていた。テレビのチャンネル数も限られ、当然ながらインターネットも普及していない当時、漫画は間違いなく子供たちにとっての娯楽の大本命で、皆が目を輝かせながら食い入るように勤しんでは、その後お互いに熱く感想を語り合う習慣が根付いていた。また、筆者の友人の中には当時からジェンダ―フリーの感覚を先取りし、少年誌に負けず劣らずの人気を博していた少女漫画にも勤しんでおり、両方含めると週に10冊程度の愛読書を持つ強者も存在していた。漫画熱は中学に入学すると、部活動への参加や、青春期特有の異性への関心やら、新たな様々なしがらみの登場等々で徐々にフェードアウトしていったわけだが、その当時のヒーロー(つまり漫画の主人公)達の雄姿は今でも鮮明に脳裡に焼き付いている。

筆者にとっての第二次漫画ブームはビッグコミック(シリーズ)や週刊モーニング等の青年漫画誌の登場によってもたらされた。社会人になってからの公共交通機関での移動時の退屈しのぎに一役買ってくれたのは“課長島耕作”や“風の大地”

等の作品である。筆者が5~6年前にブラジルに出張した際、その恐ろしいほど長いフライトの退屈さを紛らわすために、ネットオークションで〝風の大地“全巻を購入し、往の飛行の機中で同行者全員と回し読みをした挙句、サンパウロの日本人駐在者に寄贈してきたという経緯がる。飛行機の機内のように娯楽目的でテレビやインターネット等が使えない環境下において、紙媒体の漫画が存在感を発揮した事例ではなかろうか。

さて、社内において上述のような漫画の話題を振りまいていた時、漫画を愛して止まない弊社の中堅社員からお勧めの作品を多数紹介された。「絶対に失望はさせませんから!」という彼の言葉通リ、どの作品も大変面白い。またお勧め作品は娯楽的な要素に加えて知的な要求を満たす教科書的な特徴を持ったものが多く含まれていることに感心させられた。最近は歴史や経済を漫画で勉強する取り組みが流行っていると感じていたが、正に下手な参考書よりも実になりそうな漫画が世に多数存在しているのである。

正確に数えてはいないが、この半年程度で1000冊前後の単行本を読破した。昨今は漫画をスマホで読むことが常識化しているようだが、アナログ人間の筆者はやっぱり紙媒体で読みたいという思いが強く、安価にこれを実行する術として“TUTAYA”の利用にたどり着いた。通常1冊120円のレンタル料は10冊まとめて借りると90円に下がり、20冊、30冊と増える毎に比例して単価が下がっていくので、週末などはまとめて借りて貪るように読んだ。更に節約するためには、”プレミアム会員“となり、月1,000円の会費を納めることにより、1回5冊迄無料で借りる権利を得るという手がある。毎日5冊ずつこつこつと借りると1冊当たり7円弱で借りられる計算となるが、これまた週末などに“借りた5冊を駐車場の車内で読んではまた借りる”を繰り返すことも可能なわけで、こんなチャレンジをした日にはほとんどタダみたいな値段でレンタルすることが出来ることになる。さて、筆者がこの期間に読破した40~50作品の中から、お薦を下記することとする。

 

〇 宇宙兄弟 小山宙哉 全41巻

〇 インベスターZ 三田紀房 全21巻

〇 金と銀 福本伸行 全11巻

〇 GIANT KILLING ツジモト&綱本将也 既刊61巻

〇 オークションハウス 小池一夫 全31巻

〇 コウノドリ 鈴の木ユウ 全32巻

〇 キングダム 原泰久 既刊66巻

〇 柔道部物語 小林まこと 全11巻

〇 ザ・ファブル 南勝久 全22巻

〇 ヒカルの碁 小畑健&はったゆみ 全23巻

〇 1日外出録ハンチョウ 福本伸行 全14巻

〇 黒沢最強伝説&新黒沢最強伝説 福本伸行 全32巻

〇 アカギ 福本伸行 全36巻

〇 バガボンド 井上雄彦 全37巻

〇 SLAM DUNK 井上雄彦 全24巻

〇 ONE PIECE 尾田栄一郎 既刊103巻

〇 薬屋のひとりごと 日向夏 全10巻

〇 島耕作シリーズ 学生~相談役 弘兼憲史 100巻位 

 

まだまだ、お薦め作品はありそうなのだが、思い起こすのに疲れてきたので、この位で止めておくことにする。上記だけでもざっと700冊弱になるので、やはり1,000冊は優に超えて読んだことになるのだろう。さて、漸く長く熱い夏とも別れを告げ、読書の秋が訪れた。たまにはスマホを傍らにおいて秋の夜長を気楽な漫画の読書に勤しんでみては?と勧めずにはいられない今日この頃なのである。

 

                                   完

 

つぶやき 業務の流れ その七            令和4年9月9日

 

ユーザー様へ コンベア・トラック出荷

 

鹿島港については〝日本一の飼料コンビナートを有する港”と定義することも出来る。〝コンビナート“の呼称が成立する所以は何と言っても出荷先の飼料工場が隣接しておりその大半をコンベアが担っているという背景にある。地球温暖化抑止対策として世界中でモーダルシフトが叫ばれている昨今であるが、当飼料コンビナートにおいては40年近くも前からCO2排出量の極めて少ないコンベアという輸送手段を選択し、温暖化効果ガスの大量排出とは無縁の事業を展開してきたし、これからもこの取り組みを維持継続していくことで〝地球環境に優しい”企業活動を推し進めていけることは当社の誇りの1つとなっている。

昨年度の出荷におけるコンベア利用率は全体の約8割を占め、残り2割の約半分ずつがトラックによる内陸にある畜産現場向けの輸送と、内航船による他港への移送という構成になっている。コンベアと一口に言ってもその用途で様々なタイプのものがあるが、ここでは当社が採用している二種類のタイプを紹介することとする。

 

チェーンコンベア

穀物の搬送では最もスタンダードなタイプで、鉄製のケースの内部でチェインと呼ばれる鉄製の構造物(チェインと言っても鎖とは見た目が異なる)を水平方向にスライドさせることによって、穀物を水平方向に移動させることが出来る。下り傾斜での搬送が苦手なため、チェーンコンベアは水平若しくは緩やかな登り勾配を保った形で設置するのが理想とされ、屋内外での利用が可能である。穀物はケース内に保たれるうえ、集塵等の設備を併設することによって外部への粉塵等の漏れを回避できるので、清潔かつ安全な環境維持が可能となっている。

 

チューブコンベア

コンベアと言えば〝ベルトコンベア“をイメージする諸兄が大半であると想像するが、一般的にベルトコンベアは屋外での大量輸送目的に使用されることが多く、石炭や鉄鉱石等、鉱物の搬送が代表例と言える。一方で穀物の搬送では粉塵の発生を抑える目的から1)ベルト全体をケースでカバーする2)平たいベルトをベアリング等で複数方向から抑え込んで円柱状を形成し(パイブもしくはチューブの状態にする)粉塵の発生と降雨等による水濡れを回避する 等の工夫がされており、当社が採用しているチューブコンベアは上記2)に加え、さらに鉄製のケースでカバーしているタイプのものである。チェーンコンベアとの比較では1)輸送速度が速い2)騒音が少ない3)維持管理が比較的容易 等のメリットがあるが、ベルトに寿命が来た場合には全体交換が必要になるので、来るべきこの大工事に備えて何らかのバックアップ手段を用意しておかねばならないというデメリットがある。

 

ユーザー様(コンビナート)概要〈海側⇒陸側の順〉

 

➀中部飼料株式会社 鹿島工場 総合飼料工場(A&B飼料)生産量業界上位

②日清丸紅飼料株式会社 鹿島工場 B飼料工場 生産量業界上位

③フィードワン株式会社 鹿島工場 総合飼料工場 生産量業界上位

④日本コーンスターチ株式会社 東京工場 コーンスターチの製造

⑤株式会社ジャパンフィード B飼料工場(日本農産工業、日清丸紅飼料等の製造受託会社)

⑥まきば飼料 A飼料工場) 明治グループ(明治飼糧、日清丸紅飼料の製造受託会社)

⑦雪印種苗 鹿島工場 A飼料工場 雪印グループ

⑧全酪飼料株式会社 鹿島工場 A飼料工場 全国酪農業協同組合連合会グループ

⑨株式会社日本ミルクリプレーサー 代用乳工場(⑧&②の受託中心)

 

トラック出荷情報

 

➀出荷量 12万トン/年 ≒400㌧/日

②仕向け地 茨城県、千葉県、栃木県、群馬県、埼玉県、新潟県、他

③荷姿 バラ(ダンプカー、コンテナ、バルク車 等の専用車両へ積み込み)

④主な需要家(内陸飼料工場、精麦会社、養鶏、養豚、養牛の自家配農家、等)

 

内航船を使ったトランシップ(旅送り)情報

 

➀出荷量 12万トン/年(80~100隻の内航船利用)

②仕向け港 石巻港、仙台港、釜石港、十勝港、千葉港、清水港、衣浦港、他

③積載数量 1,500㌧前後/1隻当たり

 

飼料原料の安定供給は畜産製品や酪農製品の安定供給に繋がる。家畜は生き物なので配合飼料の供給は止めるわけにはいかず、それは川上に位置する当社の原料供給にも当然つながっているのである。東日本大震災(金曜日に発生)で岸壁や搬送機械に大ダメージを受けた際にも、何とか工夫して翌月曜日の夕方には出荷を再開したという記憶がある。当時はBCP(事業継続計画)という考え方が一般的ではなかったので、手探り且つ綱渡りの対策を講じて危機を乗り切ったわけだが、現在その反省を踏まえ、様々なBCP対策を構築中である。電気の供給が途絶えた場合の対策として3基あるアンローダーに再起動用の自家発電装置を設置、津波由来の本船と接触を回避出来るようにしたことに加え、アンローダーの危機を回避した後はこれを切り離し、出荷口付近に集合&直結させることにより、通常電力に依存しなくても一定量の出荷を可能にした。また、東日本大大震災クラスの直下型地震(当時は海底が震源地だったため、地震の被害は限定的であった)の被害回避を想定しコンベアの架台(足の部分)の補強に向けて取り組んでいる。安定供給という言葉の重みを噛みしめながら〝備えあれば患いなし“を心に刻む今日この頃である。

 

                                   完

 

つぶやき その十八                令和4年7月19日

 

赤シャツブーム

 

先月、とうとう還暦を迎えてしまった。還暦と言えば昔から〝赤いちゃんちゃんこ“と相場は決まっている。でもそれには平均寿命が今よりも10や20は短かった時代の「よくぞ頑張って還暦まで生きたね!」「後はゆっくり床の間にでも陣取って、好好爺よろしく余生をお過ごしください」的な意味が込められていたような気がする。まだまだ現役で、出来るものならもう一花咲かせてみたいと思っている筆者にとって、件の衣装は〝勿体無い”以外の何物でもなく、(お願いだから間違ってもそんな気遣いは無しですよ!) と祈るような気持でいた60歳の誕生日の数日前、郵送されてきた荷物の中になにやら赤いものを見つけることとなった。〝なむさん“と開封してみると出てきたのは真っ赤なエンジェルスキャップと大谷翔平Tシャツ!インパクトはそれなりではあるが時節柄照れることなく身に着けることが出来る今時の派手派手グッズである。会社に着ていくと周りの反応は上々で、記念撮影まで始まる予想外の展開である。実は弊社の社長も寅年生まれの同級生で、この感激を分かち合わない手はないと思ったのが始まりで、「そういえば○○社のI社長は寅年だったよね!」「△△社のZ役員も同級生だった筈!」と話は広がり、赤シャツにお祝いのメッセージを添えてお誕生日をお祝いするというプチブームが起こっている。先ほど回ってきたZさん向けのカードに赤いでっかい文字で〝赤シャツ軍団、ご入団、誠におめでとうございます!!”と記入したばかりの今日この頃である。

 

                                   完

 

つぶやき 業務の流れ その六             令和4年5月16日

 

サイロ保管・品質管理

 

以前にも述べた通リ、当社の場合サイロ会社としての営業行為は皆無に等しく年間の取り扱い数量は親会社の三商社と客先である飼料メーカーさん間の商いに委ねられている。従い業績の第一の柱である荷役料の売り上げについては、ビヨンド・コントロールで、泣こうが、わめこうが、地団太を踏もうが如何ともしがたいところにある。一方で第二の柱である保管料収入については、状況次第でかなり流動的であり、腕の良し悪しによって差が出やすいので、サイロ会社の優劣が試される分野といえる。当社のサイロ容量は193,145㌧。現在日本で4番目の大きさであるが、この数字までまるまる搬入出来るかといえば、一品目、一産地、一本船というあり得ない環境下でのみ達成可能という理屈になるのであるが、現実の世界では様々な要素が加わるため、パンフレット等に記載されている“搬入容量”は卓上の計算値ということになってしまう。さてそれではどんな縛りがあるのか?

 

品目 当社の取り扱い貨物を年間の取り扱いの多い順番に並べると➀とうもろこし ②大麦 ③こうりゃん ④小麦 となる。➀のとうもろこしについては全体の7割前後を占め不動の主役の座を譲ることはないが、②~④については あ)飼料各社の配合率の変化 い)その年の品目ごとの生産状況(=相場)等により年度ごとに順位の変化がみられることがある。上述4品目に加えて ⑤国内産飼料米 ⑥大豆 なども少量ではあるが取り扱っており、過去を遡ると⑦ライ麦 ⑧BPP(ビート・パルプ・ペレット=北海道等で生産している砂糖大根から砂糖を精製後の絞り粕をペレット状にしたもの)⑨大豆粕(輸入&国産)等等、④の小麦と⑥の大豆が一部食品に用いられケースがあるが概ね家畜の飼料用の原料が取り扱いの中心となっている。

 

産地 ➀のとうもろこしの産地は取り扱い数量の多い順に米国、ブラジル、アルゼンチン、ウクライナ、東欧(ウクライナ以外の東欧諸国)となるが、過去においては中国、インド、南ア、豪州等からの輸入の実績もある。産地によって品質の違いがあり、畜種別の使用目的によって評価の分かれるところではあるが、米国産(特にガルフ積み)の評価が総合的に高く、南米産(ブラジル及びアルゼンチン)についてはフリント種(丸みを帯びていて硬め、色味がオレンジがかっている)の為、「粉砕用には使えるが、圧扁には向かない」というのが一時期の常識であったものの、ブラジル産については近年デント種が主流になってきており、米国産同様にオールマイティーな使用が可能になりつつある。同じ南米でもアルゼンチン産については硬さや色味の部分でデント種とフリント種の中間とも言えるセミデント的な粒の為、一部飼料工場においては圧扁用に使っている例外もあるが、大多数の工場では粉砕目的での限定使用となっている。また、今話題のウクライナ産は基本的には中国、アフリカ、中東向けが主力となっており、日本向けはここ何年かの平均では輸入先別のシェアで5%未満に留まっており、産地(積み地はテレビで連日取り上げられているオデーサ港)の混乱による日本への影響は限定的と言える。因みに品質については米国西海岸積に近い。

  • こうりゃんについてはここ20年ほどの間に配合率の右肩下がりを続けており、最盛時には10%以上あった比率が現在2%程度まで減少してきている。産地は米国産とアルゼンチン産があるが、価格の優位性で現在はアルゼンチン産がメインとなっている。配合率の低下傾向の中においてもブロイラー用の飼料には欠かせない原料となっており、同畜種の主要産地となっている南九州や北東北地域においての需要は旺盛で圧倒的に多く使われているが、ブロイラーの比率が少ない関東において実需は決して多くは無い。従い当社の後背の客先へコンベア搬送する数量は限られているのだが、一方で仮置き後の内航船での旅送り(サイロ出し)による全国へ小口輸送するというハブサイロ機能が確立されつつあり、取扱数量は緩やかな増加傾向に転じてきている。
  • 大麦及び小麦の主産地は米国、カナダ、豪州、ウクライナ(その他の東欧諸国も含む)があるが、近年は価格競争の観点から豪州産とカナダ産が2本の柱となりつつある。麦類に関しては産地別の品質の評価の差が比較的少ない為、工場による選り好みの声はあまり聞こえない、大麦については年度別の

使用数量が3~4%程度で安定しているが、小麦については食料用の小麦の生育過程において問題の発生した場合にオフグレードと称して安価に飼料用に提供されるケースがあり、このことが年度別の使用数量の増減の原因となっている。

 

品質の変化 穀物は一般的に水分値15%以下で流通&保管されることとなっている。この15%以下という数字は穀物が呼吸を止め、仮死状態となる値で、無呼吸による二酸化炭素の発生が止むことによって、穀温の上昇が抑えられ、品質が安定する目安とされている。従いこの15%以下という水分値は輸入の際の契約条件に盛り込まれており、種々の輸入関係書類の中にQUILITY CERTIFICATE(品質証明書)として必ず添付されている。従い品質証明書があれば、理論上は長期保管に適した貨物という位置づけになるのだが、現実の世界ではそうは問屋が卸さないケールが時々発生してしまう。穀温の上昇が長期化すると胚芽部分の壊死や湿度の上昇に伴う〝蒸れ臭“のような匂いが発生し、品質低下による様々なトラブルを引き起こす要因となる。穀温上昇のサインを一早く察知し、客先の配合メーカーさんとの情報の共有を確りと行い、時には「先入れ先出し」の原則を覆してでも、品質の劣化の影響を最小限に留めるのがサイロ会社に課された使命であり、腕の見せ所でもある。

 

さて、上述の品目、産地、品質の3項目に加えて、運んできた本船を加えた4要素を織り込みつつ、150本のサイロビンを有効活用しながら在庫率を上げていくのはなかなか骨の折れる作業である。コンタミの発生を予防するためにこまめにラインやサイロビンをクリーニングすることは勿論、数週間先の本船の動静や当面の天候、各商社のスワップ担当者の思惑等に考えを巡らせながら、どのタイミングでどの船を引き受けることが〝全体最適“となるかを常に自問自答しつつ船の順番と数量を決めていくこととなる。➀配船商社への平等性 ②在庫率の高位安定 ③コンタミや品質の劣化に代表される品質問題の回避 この3要素をコンスタントに満足させることが出来れば、サイロマンとしての〝免許皆伝”と相成るのである。

 

「先入れ先出し」 入庫の履歴の古いものを優先して出荷すること。

「コンタミ」 コンタミネーションの略。異なる貨物(品目)が混じってしまうこと。

「本船の動静」 当社の岸壁への将来の入船が予定されている船が今どこで何しているかの情報

「スワップ」 同じ品目とグレード(等級)の貨物を一定期間内において、別別の貨物船間において交換し合うこと。例えば、志布志港に接岸中の本船A号で貸して鹿島港に将来入港予定の本船B号で返してもらうといった取引。この行為により本船の配船港数を押え、輸送コストを削減することが可能となる。

 

穀温の上昇を抑える為の手段

 

➀ リサイクル サイロビンA~同サイロビンAへの貨物の移動。冷たいコンベアや空気に穀物をさらすことにより冷やす効果が期待できる

② ローテーション サイロビンA~サイロビンBへの貨物の移動。➀に加え、空っぽのサイロビンの空気に触れる為、➀よりも有効とされる。

③ エアレーション 冬場の乾燥した冷たい外気を燻蒸用のブロアーを利用して循環させることにより穀物の温度上昇を抑える行為。体積の少ないサイロビンにて行うほうがより効果的。

④ 空調機を利用した③ 効果は絶大だが水分が飛び過ぎるリスクを伴う。

⑤ サイロ上からの送風 軸流ファン等を利用してサイロ上から空気を送り込む。穀物の表層の湿気やカビの発生を抑えることは可能だが、穀層中の温度を低下させるには不向き。

その他、日本各地のサイロ会社で工夫を凝らしたり、設備投資をしたり、様々な対策を講じている。

 

サイロ会社にとっての最重要課題はお客様から信頼される手堅い保管業務の遂行であるといっても過言ではない。〝好事魔多し“の言葉を肝に銘じ、常に用心を怠ることなく現場をパトロールする今日この頃である。

 

                                   完

 

つぶやき その十七                  令和4年5月13日

 

件の新入社員が無事入社して1カ月余りが経過した。な、な、なんと血液型は純正(??)のB型、〝前述の奇跡的な確率“はもはや〝天文学的な神秘”に昇華を遂げ、M課長代理にしてみれば、外れた顎が元に戻らない状態である。しかもこの新入社員は、当社の35年余りの歴史上、初の女性総合職として採用された元気印のB型である。今のところ5月病とも無縁の様子で、明るく素直で見るもの聞くもの興味深々に吸収しようという態度を眺めていると〝これはオジサン殺しの素質十分だなぁー“とオジサンの代表格である筆者などは思わず唸ってしまうのである。先日、彼女の運転による客先廻りに同行する機会があった。若葉マークの彼女の運転を気遣った総務部長からの〝安全運転の徹底”の指示を真摯に実行する彼女の助手席で、寧ろ〝ソワソワ“ 〝ハラハラ”してしまったベテランドライバーは初心に立ち返るべく反省すべきなのであろうか?? ともあれ、新体制でのスタートとなった当社は7月の上旬ごろに創業以来の取り扱い数量4、000万トン達成の予定である。“思えば遠くへ来たもんだぁー”と海援隊の名曲を口ずさみたくなる今日この頃である。

 

                                  完

 

つぶやき その十六                 令和3年9月22日

 

M課長代理の悲劇

 

業務部員は筆者も含め現在5名編制なので、上述の通り来春には1名増の6名となる。奇跡的な確率といっても過言ではないと思うのだが、現在この5名の血液型の分布はO型­ 0名 AB型 0名 A型 1名 B型 4名となっていて唯一のA型であるM課長代理にはかなりの負担?となっているようである。全てのB型が同じというわけでもなかろうが、当部のB型メンバーには先ずは「当らずとも遠からず」からアプローチする楽観的な基本姿勢が根底にあるので、「完璧主義」で且つエネルギィシュなM代理(には申し訳ないのだが)に先頭を走ってもらうことでバランスが取れ効果的な業務の遂行に繋がっているというのが筆者の分析である。

 

さて、6番目の部員は何型なのか?今からワクワクが止まらない今日この頃である。

 

つぶやき その拾伍                  令和3年9月21日

 

再開

 

“つぶやく”ことを止めて1年と半年程が経過した。これは概ねこれまでのコロナとの付き合いの期間と一致する。コロナ渦で出張やら来客やらのほとんどない現在の方が机に座っている時間があり、文章をしたためるにはうってつけではないの?と訝しがる諸兄!? ご指摘の通りである。弁明をさせていただくと、コロナ以前の小職は「アフター5の業務」に熱心の余りしばしば二日酔いの状態に陥り、その自戒の念から本稿をしたためていたふしがある。略飲食ゼロで過ごしたこの期間においては幸か不幸か二日酔いになる機会にも恵まれずこの奇妙なモチベーションが働かなかったようで、自然と長い中断の状況が続いてしまったというエクスキューズとなる。

 

では何故、今再開するのか? 来春我が業務部に7年振りに新入社員が加わることとなり、準備期間中に業務を理解できる書籍や資料を読ませては?という話になったのだが、今一ピンとくるものが見つからないので、それなら“つぶやき”で

連載??中の「業務の流れ」を完成させ参考書よろしく読んどいて貰おう!という結論に至った次第である。しかしながら真面目なネタだけを書くのでは些か苦痛なので、これまで通リ世俗的なネタも織り交ぜての投稿になることをお許し願いたい。

 

つぶやき  業務の流れ その五

 

本船荷役

 

岸壁にある係船柱への舫いロープの括り付けが完了し、タグボートが本船から離れると荷役準備のための乗船となるが、乗船前に必ず確認しなければならないのは、検疫が終了しているか否かである。昨今は無線検疫が主流となり、入港以前に検疫が終了するケースがほとんどだが、稀に着桟検疫が実施されることがある。この場合、本船ブリッジ前方に寄港地の国旗である〝日の丸“に並べて”黄色い“フラッグが掲揚され、厚生労働省の検疫官による(ほとんどの場合書類の)審査が終了するまでは、何人も本船への乗船を許されない。検疫終了後に〝黄色いフラッグ”が下ろされると乗船は可能となるのだが、弊社では酸欠事故を防止する目的から先ず最初に酸素測定チームを乗船させ、各ホールド入り口の酸素濃度が安全基準を満たしていることを確認するまでは立ち入り禁止を解かないルールとしている。荷役を開始する前にはハッチの蓋をオープンしなければならないが、これは船員の手によって行われる。本船のタイプによってハッチ蓋の形式は様々だが、昨今ではパナマックスタイプ以上=サイドローリング式 ハンディタイプ以下=ジャックナイフ型に統一されてきているようだ。

 ハッチオープン時に初めて積み荷とのご対面となるわけだが、この際確認しなければならないのは1)ダメージの有無(変色や水濡れ) 2)コンタミ(別の貨物の混入)の有無 3)ダストや夾雑物(ゴミ)の量の多少などである。取引の慣習上、シィップバック(積み地への返品)は出来ないのだが、ダメージ品があった場合にはサァーべィヤー(海事検定人)に原因調査を依頼し、場合によっては保険求償の対象とするし、ダメージ扱いとならない場合でも品質が良くない場合はユーザーである飼料工場さんに使用方法を相談する必要があるからだ。

 

※穀物の本船ダメージの要因色々

 

  • 船の構造上、起こりうるダメージ

あ)ハッチコーミングやベンチレィターからの海水の侵入(航海中に荒天に見舞われ、波やうねりの影響で海水がホールド内に侵入するケース。ホールド内で水濡れした部分が流動性を失うことにより〝柱状“に固まる。

い)エンジンルーム(ハンディタイプ=5H パナマックスタイプ=7Hと接するホールドのとも側(後方))の壁に穀物が付着し、穀温の上昇とともに若干の変異が発生する。エンジンルームの熱が壁に伝導して発生する。

う)オイルタンク(本船の後方複数ホールドのボトムの更に下)からエンジンルームに燃料を送り込む際、燃料の流動性を確保するために急激に重油の温度を上昇させることによりボトムの鉄板の温度も比例して上昇。とうもろこしなどがコーヒー豆のように変色することがある。

え)ビレジ(本船のボトムにある給排水用のバルブ)の故障等によるボトムよりの海水の侵入

 

 ● カーゴネイチャーに起因するもの

あ)穀物の水分含有率過多によるヒートダメージ

い)穀温と外気温(航海中の場合は海水温)の温度差により発生する結露が引き起こすヒートダメージ

う)あ)と い)が複合的に作用するもの

 

積み荷の検品が済むと荷降ろし作業の開始となるが、これに使用される大型荷役機械はアンローダーと呼ばれる。当社には遠心力による掻き揚げ式の機械式アンローダー2基と掃除機を巨大化したようなバキュームタイプのニューマチックアンローダー1基の合計3基(それぞれ400㌧/h&走行式)が配備されており、1時間当たりで最大1,200㌧(トラック100台分)の荷降ろしが可能となっている。本船のホールドは5H~7Hあり、荷降ろし数量に応じて荷役プラン(どのホールドから何トン吸い上げるかの計画)が決定されるのだが、この際本船の前後左右のバランスと次港(がある場合は)まで安全に航海が可能な積み荷の配置を考慮した計画(シークエンス)が作成され、それに則ったアンローダーのホールド間移動を繰り返しながらの荷降ろし作業となる。荷降ろしの前半はホールド内に貨物がたっぷり入っているため、アンローダーの単独作業でも能力の100%が発揮できるが、後半になって貨物量が減り、自然流化による流動性が低下し始めた段階ではアンローダーに設置されているジブクレーンを使ってのブルドーザーの投入を行い、搬入の能力低下をブルドーザーの掻き寄せ作業でカバーする。さらにホールドの底が露出されると鉄板上の走行が苦手なブルドーザーをタイヤ式のパワーショベルに置き換え取り切り作業を実施するのだが、小さな粒のとうもろこし等の穀物を完全に揚げ切るためにはパワーショベルによる掻き寄せにも限界があるので最終段階では箒等を使った人海戦術を駆使することとなる。

 

穀物を安心して保管するためには乾燥状態(仮死状態)を維持することが必須のため、降雨荷役はご法度である。しかるに荷役作業は常に天候との“にらめっこ”となり天気次第で作業計画は刻一刻と変化していく。荷主である商社が用船契約を船会社と結ぶ際、積み地及び揚げ地での作業の時間制限が盛り込まれており、超過した場合にはデマレージ(逆はディスパッチ)といってペナルティーとしての追加支払いが発生するため、これをミニマイズするために荷主からの残業作業依頼が増加することになる。

 

1時間当たりの搬入数量は貨物の比重や形状に左右される。とうもろこしや小麦が基準となり1時間当たり400㌧と設定されているため、それよりも比重の軽い大麦等の揚げの場合若干の能力低下となる。また、比重も軽く形状も異なる(粒ではない)副原料の荷揚げでは大幅に能力ダウンになることもある。

 

当社では創業以来3,600万㌧を超える貨物の荷降ろしを実施してきた。仮にこの量を12㌧トラックに積載したと仮定するとユーラシア大陸の西の端から東の端までを繋ぐ規模となる。文句ひとつ言わずここまで数量を積み上げてきてくれたアンローダーに感謝感激の今日この頃である。

 

                                   完

 

つぶやき その十四                  令和2年1月15日

 

鹿島神宮参拝

 

正月といえば、「初詣」は欠かせない行事である。そして当地鹿島港(実際の住所は鹿嶋市&神栖市)に立地する企業の〝神頼み“先は鹿島神宮と相場が決まっている。ウイキペディアでもググっていただければ、鹿島神宮が如何に由緒正しき神社であるか!その歴史的背景からもお分かりいただけると思う。当社では毎年一月の第6営業日(社内の初祈祷)と26日の安全の日(かつて不幸にして発生した粉塵爆発事故の反省からこの日を”安全の日“と決め毎年安全に関する行事を実施している)の2回の参拝を行っている。鹿島神宮は東国3社(鹿島神宮、香取神宮、息栖神社)の中でも東国随一の古社で、いにしえの昔より関東以北(東北や蝦夷)の勢力に対して”睨みを効かせる”東国開拓の拠点としての重要な役割を負ってきた。しかるに苗裔神(びょうえいしん)=御子神 が現在の宮城県や福島県の各地に形成されたことにより現在でもこの地域を訪れると数多くの“鹿島神社”を発見することが出来る。鹿島神宮は古来より武神として崇敬され、武道関係者の間で篤く信仰されてきた。全国各地の武道場で“鹿島大明神”と香取大明神“の2軸が一対で掲げられていることからも、今なお〝武道の神”としての信仰を集めていることが伺えよう。サッカーの鹿島アントラーズは20年を超えたJリーグのその歴史においてJ2降格経験の無い数少ないチームであり、数年前のクラブワールドカップにおいては当時の世界のスーパースターを結集した欧州代表レアル・マドリードを首の皮一枚のところまで追い詰め、アジアのクラブチーム初の準優勝を勝ち取り世界中に衝撃を与えた。〝ジーコイズム“とも言われる勝ちに拘るチーム全体の姿勢が選手一人一人に浸透し、常勝軍団と呼ばれていることは有名であるが、あの奇跡については〝鹿島神宮のご利益があった”とでも言わなければ容易に説明がつくものでは無い。(この場合武道を勝負と置き換えていただかなければいけないか?)鹿島アントラーズのアントラーは鹿の角のことであるが、鹿島神宮の境内にも“神の使い”とされる鹿を飼っている。鹿と言えば春日大社が有名で鹿島はそのパクリではないか?と思われがちだが実は春日大社の鹿は鹿島神宮から春日大社に贈られたという史実がある。なんと鹿島がオリジナルなのである。〝早起きは三文の徳(得)“という諺の由来は諸説あるのだが、昔、神の使いとされてきた鹿が人家の前に行き倒れていることが良くあり、これを供養する相場が三文とされていた時代があったという。早起きした家主が三文を惜しむあまり隣家にそーっと鹿を移動することにより得した金額が三文なのでこの表現が生まれたという説だ。これだと間違いなく”徳“ではなく”得“ということになる。さて、当社の創業以来、欠かすことなく鹿島神宮を訪れ、正月の有難いご祈祷を頂いておるところであるが、以前の“神宮参拝”は会社の従業員にとっては真冬の荒行よろしくある程度の〝覚悟“の必要な行事であった。理由は2つ。ご祈祷を受ける本殿が隙間風で猛烈に寒いことと、長時間の板の間の正座を耐えなければならない苦痛からである。ところが近年鹿島神宮も今時?の流れからか立派な祈祷殿を新設し、隙間風とも正座とも無縁のご祈祷が受けられるようになった。はたしてご利益は?とも考えない訳ではないが、とりあえずは有難いことである。一年に一度だけ、必ず鹿島神宮にて”おみくじ“を引く習慣を30年以上も続けている。そして未だに〝凶”に当たったことが無い。今年はというと〝 大吉 神山の真榊(まさかき)の如し  敢えて花々しいところはないが、犯しがたい心あるが故に何日迄も人に敬われて一生涯幸福を受けるのである“ とある!! これを最後に来年以降〝おみくじ”を引くのは止めよう!と思う今日この頃である。

 

                                   完

 

つぶやき その拾参                 令和元年12月26日

 

大盛塾

 

10月~12月の3か月間限定で東京、品川にある親会社に長期出張に出向いており、本日が最終日となる。この間、普段現場では出来にくい様々な取り組みを行ってきたが、今回の出張の目玉となったのが、「大盛塾」の実施であったと言えよう。当初は親会社の豊田通商若手社員向けのミニ講習会で、特にタイトルを付けていたわけではなかったが、知らず知らずのうちに誰からともなくこう呼ばれるようになっていた。10月10日の第一回(植検&燻蒸について)から昨日、最終日の(食の豊かさを支える穀物のあれこれ)まで全20回を実施し、私の現場での過去30年の経験をかなり掘り下げて伝授することが出来たのではないかと自負している。全20回の内容は以下

 

第1回  植物検疫と燻蒸について

第2回  在庫管理

第3回  本船荷役立ち合い

第4回  貨物のダメージについて

第5回  鹿島港の歴史について

第6回  飼料コンビナート

第7回  税関業務について

第8回  品質管理&クレーム対応

第9回  サイロとの連携(商社⇔サイロ サイロ⇔同業他社(近隣) 

サイロ⇔同業他社(全国))

第10回 飼料会社との付き合い

第11回 国際バルク戦略港湾政策

第12回 飼料の安定供給(BCP)

第13回 東日本大震災の教訓

第14回 サイロの1日

第15回 POROJECT NABOO (海外大型投資案件への参加でのエピソード)

第16回 スクランブル交差点―鹿島港(多数の関係商社、競合他サイロ等

     プレーヤーが日本最大で、複雑なかじ取りが求められる)

第18回 日本の畜産はこう変わる!?

第20回 食の豊かさを支える穀物のあれこれ

 

と以上講義形式の内容がメインであったが

 

第17回 大規模災害への備え(求められる「失われた20年のつけーインフラ整備停滞期」からの脱却)

第19回 AI化の行く先

 

では討論会形式を試み、様々な意見交換を行うことが出来た。

 

営業の若手社員がメインの参加者であったが、課長さんクラスのベテラン社員、(釈迦に説法ではありませんでしたか?)企画部の方々、女子社員にも多く加わってもらえたことにより、今後処理する(これまで無機質だった?)伝票などに何となく物語(現場での苦労やドタバタのイメージ)が宿るようなことでもあれば、甲斐があったというものである。

 

30数年振りの都会のサラリーマン生活は新鮮かつ刺激的で、「間違いなく本年のハイライトになったなぁー」と去り際がちょっぴり寂しい今日この頃である。

 

 

つぶやき その拾弐                  令和元年12月26日

 

応援団長に徹する!!

 

つぶやき その拾において短く触れた“看板娘”のカナダ武者修行のその後であるが、結論から言うと2年延長(カレッジに行くらしい)ということになり、弊社へのカムバックの線は消えてしまった(多くのK嬢ファンの心の穴が埋まることはなくなった・・・)。3か月の語学研修を終えた彼女はその後トロント最大のモールにある日本を代表する世界的企業U社の販売店への就職が決まった(12人採用され、彼女以外の11人はカナダ人、しかもバイトではなく正社員採用らしい)

のだが、(外国人だからという理由では)容赦の無い現場に飛び込んだことにより自分の実力不足を痛感し、中途半端で帰るわけにはいかないと残留の心を固めたようである。こうなってしまったからには未練の気持ちときっぱりと決別し、“応援団長”に徹するとイエスに誓う(クリスマス翌日の)今日この頃である。

 

つぶやき 業務の流れ その四             令和元年8月16日

 

植物検疫検査

 

海外から輸入される穀物には病菌や害虫が付着・混入しているケースがあり、「新天地」には病害虫に対しての競争種や天敵がいないために害虫の独走態勢を許し、急速に蔓延、作物に大きな被害を与える危険性がある。このため処女地(新天地)サイドとしてはこの進入を未然に防ぐために、水際において植物検疫検査を実施している。日本では1950年(昭和25年)に制定された“植物防疫法”に基づいて行われており、農林水産省植物防疫所が横浜、名古屋、神戸,門司、那覇に設置され、この業務を担当している。鹿島港には横浜植物防疫所・鹿島出張所が配置さ

れ水際の穀物検疫の検査においては件数、数量ともに日本最大となっている。検疫検査は外航本船が岸壁に着岸後、速やかに実施されることになっており、荷役開始前が原則であるが、荷役の効率性に対する配慮から条件付きで一部検査前荷役も認められている。検査は本船上で行われる。その港で荷下ろし予定の全てのホールド(船倉)内の穀物が検査の対象となり、植物防疫官による篩(ふるい)を使った検査が実施される。検査の判定は、①合格(虫未発見)、②合格(検疫対象外の虫の混入有)、③不合格(検疫対象の害虫の混入)の三パターンに分かれており、③の場合のみ消毒(くん蒸)命令が出る。

 

燻蒸(くんじょう)

 

穀物類の燻蒸に使用される薬剤は一般的には臭化メチル(メチルブロマイド)とリン化アルミ二ウム(ホストキシンという製品名で呼ばれることが多い)の2種類があり、臭化メチルは穀物(とうもろこし、こうりゃん、大麦、小麦、大豆、等々、粒状なので粒と粒との間に隙間が出来るためガスの通りが良い)そのものの燻蒸に使用される。燻蒸の方法としては、穀物のサイロビンへの搬入が完了後、液体ボンベをサイロ下の専用部分に接続した後、気化したガスをブロワーを使ってサイロビン内で循環(投薬)、ガスが内部で均一に拡散されてから密閉状態を維持させる。この際、供試虫(植物防疫所で育てている虫)を入れたテスターをサイロ上から穀層内に投入し、殺虫の効果の確認に使う。(※テスターは全体の長さが1メートル程で、最低でも50cm以上が穀層内に潜るように工夫されたロケット状の穴あき先端(虫は逃げられない)に加工されている)。投薬完了後、ガスによる確実な殺虫効果が確認されるまでには通常48時間の密閉を必要とするが、週末を挟んだ場合の72時間や客先が引き取りを急ぐ場合の薬剤を増量しての24時間燻蒸が実施されるケースもある。虫の死亡確認はサイロビン内全体を実施することは物理的に不可能なので、前述のテスター内の供試虫の生死をもって全体を確認したものとする。(以上開放作業)燻蒸完了後、穀類に付着した薬剤の成分が家畜の健康に害を与えないように再度ブロワーを使って外部にガス排気しないと使用許可は下りない。(この際、残留濃度0ppmになるまで排気を続ける必要がある)。他方、加工され顆粒又は粉末状になった(ガスが通り難い)大豆粕や菜種粕等、主に副原料の燻蒸にはリン化アルミ二ウムの錠剤が使用される。この場合、サイロビン内の容積から導き出された分量のリン化アルミ二ウムの錠剤を穀物の搬入の進捗に合わせて同時投入していく必要があるため(錠剤は一定の時間を持って気化し始めるので、搬入に合わせて万遍なく投入する必要があり、降雨や夜間等、長時間の中断を余儀なくされる場合は当該サイロビンにおける搬入が予定数量に達しない場合でも搬入を終了せざるおえないケースも出てくる(☚デッドスペース発生のリスク)。一部のサイロでは減圧サイロというルーツブロワーを使った特殊な燻蒸設備を有しており、この場合は特定の副原料における臭化メチルによる燻蒸が可能である。よって降雨時や夜間荷役作業における優位性を発揮することが出来る。また、近年、臭化メチルの使用は検疫燻蒸(命令燻蒸)に限定(下記、様々な課題参照)され、使用者の意思による自主燻蒸についてはそれ以外のメソードを取らざるおえなくなっており、リン化アルミ二ウムの庫外投薬機燻蒸(リン化アルミ二ウムの錠剤を予めガス化させておくことにより、ブロワーを使った燻蒸の実施が可能)が食料用小麦のユーザー等を中心に実施されている。

 

燻蒸に纏わる様々な課題

 

臭化メチルという薬剤は安価に入手が可能で、殺虫効果が高く、穀物への残留性が低い(排気作業により残留濃度を0にすることが容易)ということで穀物の検疫燻蒸にとっては“夢のような薬剤”であるが、近年、唯一の欠点が指摘されることとなった。使用されたガスが大気中に排気された場合、(フロン同様)オゾン層を破壊するという結果が実証されてしまったのだ。世界的に使用の縮小→撤廃いう方向性が決まっており、使用の条件が厳しくなってきている。(現時点では検疫燻蒸での使用のみが可であるが、いつ何時使用が禁止されるか予断を許さない)一方で“植物防疫法”が制定された昭和25年頃と現在では海路、空路を含め、物や人の往来も桁違となっている。一緒に本邦に紛れ込んできた虫達も数知れず、古いリストに名を連ねていた検疫対象の害虫たちも次々とリストから外されることとなり、上述検疫検査の③の確率は極端に低下している。(それでも0になることはなく、約2割前後で推移している)。このことにより最初に悲鳴を上げたのは臭化メチルの製造メーカーであった。彼らの採算ベースまでの値上げ(それでもリン化と比べると桁違いに安価)に応じざるをえなかったことは言うまでもない。次いで燻蒸(作業)会社に危機が訪れた。再編&集約&掛け持ち等を駆使し、どうにか作業を継続してもらっているが、厳しい状況に変わりはない。代替薬剤や投薬方法の研究、開発については上記リン化アルミ二ウムの庫外投薬機の開発等も含め業界が様様な提案をしているが、費用対効果面では臭化メチルのサイロ燻蒸の代替にはなり得ないものばかりである。燻蒸コストの上昇は穀物調達価格の上昇に直結する話なので、飼料穀物業界全体で問題の認識を共有し、状況の変化に的確かつ柔軟に対応していく必要がある。業界の内外を問わず、当社の来客者には「臭化メチルの代替品を開発又は発見すれば、間違いなくノーベル賞ですよ」と焚きつけてはいるのだが、未だに良い知らせは聞こえてきていない。

 

                                   完

 

つぶやき 業務の流れ その参                 5月23日

 

本船入港

 

  • 船舶代理店(ローカル代理店)

本船の乗組員は外国人船員がほとんどで、本邦到着後の様々な手続きを自力で行うことは困難である。そこで船員に成り代わって様々な手続きを代行するのが船舶(ローカル)代理店である。鹿島港における穀物積来本船の代理店は、東洋埠頭㈱、丸全昭和運輸㈱、鹿島埠頭㈱、山九㈱の4社がある。代理店の主な仕事は(1)船長と船会社の連携の補佐(2)役所手続き(3)本船とサイロ会社(荷主代行)のスケジュールの調整や係船料(船の駐車料金)、給水料を含む港費の代理払い(4)本船の各種検査や修理等の業者の仲介(5)本船の食料品調達の仲介(6)病気になった船員の病院への送迎、等、等、実に様々である。過去には船員の逃亡、船員による盗難&窃盗事件、傷害事件、等も有った。入国管理局や警察等の対応まで何でも請け負わなければならないので、会社組織でいうと総務部みたいな仕事である。さて、鹿島港における本船の入港に当たっては先ず「信号を押える」ということから始まる。鹿島港は人工の掘り込み式港湾である。故に航路幅が狭い為、大型本船の相互通行が制限されており、ある程度のサイズを超えた船舶の入出港に当たっては独自の規制がかかっている。信号は4種類あり(I)IN=入港本船優先 (O)OUT=出航本船優先 (F)FREE=規制無し (X)ダメ(多分?)=超大型船(タンカー等)入出航時の当該本船以外の全ての船舶の移動禁止 となっている。弊社に向け入港する本船はPANAMAXタイプ又は同等クラスのサイズとなるので、上記(I)及び(O)の対象となる。(注(I)や(O)の時間帯でも内航船クラスは規制の対象外である)。また代理店は大型船の入出港で規制が発生する場合は他の代理店に事前に周知を行わなければならない。鹿島港沖で入港の順番待ちをしていた本船がパイロットの乗船を受けタグボートにサポートされながら、弊社岸壁に接岸するまでの所要時間はおよそ1時間半。着岸と同時に代理店は本船に乗り込み上記諸手続きの準備に取り掛かる。〝時間との勝負″というのも代理店の宿命である。

 

  • パイロット及びタグボート

大海原を航海する大型船舶は自力で航行するが、港湾内での航行にはパイロット(水先案内人)のエスコートとタグボートによるサポートが義務付けられている。

それぞれの港に潮流の動きや、浅瀬の存在、その他要注意地点などの特徴があり

それらを熟知している水先案内人のアドバイスを受けながら船長の責任において港湾内の航行及び岸壁への離着岸を行うわけだ。日本国中の港湾にはパイロット事務所なるものが設置されており、港湾の規模や、船舶の往来数により所属している水先案内人の人数が決められている。鹿島港には常時6名~7名の水先案内人が所属している。水先人になるためには船会社での現場の経験(船舶の乗務)が必須で、船会社退職後の延長線上の仕事として位置づけられており、高齢者が多い。勤務時間幅は早朝から深夜までと長く、極寒時や、荒天時のアテンドなど劣悪な環境にも対応する必要がある為、大変な仕事であるが、実労時間はそれ程長くはないので、時間給換算でいくと可成りの高給取りと言えるだろう。本船の離着岸に当たって水先案内人の指示とともに欠くことが出来ないのがタグボートによるサポートである。もし仮に220M以上の巨大な船体をもつ大型貨物船が自力で岸壁への接岸を試みた場合、岸壁そのものを破壊するか、岸壁のクッションの役目を果たしている防舷材にダメージを与えるかは想像に難くないところである。岸壁にも防舷材にもストレスを与えることなく接岸させるためには10CM/SEC程度の接岸速度が要求される。大型貨物船は前方及び後方の側面に配置された2隻のタグボートによる極めてデリケートな操船により〝じりじりと辛抱強く“船体を押されながら安全な岸壁への最接近を実現する。

 

  • 綱取り作業

さて、岸壁に最接近した本船であるが、接岸完了の為には本船と岸壁間における「舫い綱」と呼ばれる太いロープ(直径100mm位)の受け渡し及びボラード(又はピット)と呼ばれる係船柱への括り付けが不可欠で、一般的には(スプリングも含め)前後6本づつ(合計12本程度)のロープを括り付ける必要がある。船の甲板上から解き放たれた舫いロープは一旦海上に落下し海水を含むことがあるので、とてつもなく重くなる。昔は力自慢のステべ(stevedore= 船内作業者)が運動会の綱引き宜しく引き廻していたようだが、現在ではフォークリフト等を活用して舫い取り作業を実施している。(余談ではあるが、荒天により〝うねり“等の発生が

生じた場合、船体にかかった強い力により本船が前後左右に揺さ振られ、舫いロープが切断されることがある。切れたロープが鞭のように飛んできて、死亡事故になった例もある。強風、高波、うねり等の発生時には、くれぐれも舫ロープの周辺には近づかないようにお願いいたします)

 

先程、7万㌧級の大型貨物船〝CENTEX HONOR”号が関係各位のご協力のもと無事入港&接岸した。これから約1週間をかけて6万㌧超のとうもろこしの搬入が行われる。当該期間中の好天が望まれる今日この頃である。

 

                                   完

 

つぶやき その拾壱

 

100kmウオーク

 

4月20日~21日の土日にかけて“房総ぐるっと100kmウオーク”に2回目の挑戦をし、念願の完歩を達成した。昨年の73km地点での右足の小指の爪が剥がれたことが原因の不本意なリタイヤをリベンジ出来た格好である。100kmといえば鹿島港を出発地点とした場合、東京まで行けてしまう距離である。制限時間は28時間なので、最低でも時速4kmのペースを維持しながら歩き続けないことには時間内にゴールすることは出来ない。昼夜を徹してのイベントである。4月20日(土)09:00、千葉県、大網白里市の“大里総合管理㈱から約350人の勇者がスタートした。最年少10歳、最年長80歳の猛者たちである。第一チェックポイントは13km先。茂原市までの比較的平坦なコースを南下することとなる。交通量の多い道路なので、競技者は歩きやすさを考慮しつつ、歩道の幅を見極めながら道路を右から左(あるいは逆)に何度も横断を繰り返す。足腰や膝、腕の痛みなどは比較的前半からくるもので、歩き始めの10km程度で最初の不安がそれぞれの競技者に覆いかぶさってくる。13km歩くということはスタートから2時間以上は経過しているわけで、多くの参加者はこの第一チェックポイントで軽食を取ることになる。第二チェックポイントまでは全行程最長の18km。茂原市から長南町を経て、菜の花畑の中を牧歌的な風情で走ることで有名な“いすみ鉄道”の始発駅のある大多喜までの長丁場。山道も加わりアップダウンが繰り返されるので、ボディブローのようにダメージが蓄積されてくる。大多喜から第三チェックポイントのいすみ市国府田までの12kmを移動し43km地点に到達した段階で日没を迎え、競技者は運営の人たち(サポーター)が先回りして予めトラックで運んできてくれていた夜支度(防寒着、ヘッドライト、蛍光機能付きタスキ、等等)に装備変更する。日中は比較的(仲間内で)団体行動を取っていた参加者も夜のとばりが下りるとともに次第に無口になり、一人、また一人と、孤独な暗夜単独行路を歩み始めることとなる。第四チェックポイントのいすみ市役所付近までくると丁度50kmの中間点で、山道の行脚も終わり、ここから先は長い長い海岸線に沿っての行程である。第五チェックポイント(太東海水浴場付近・60km地点)、第六チェックポイント(一宮海岸付近67km地点)、第七チェックポイント(白子インター付近74km地点)、第八チェックポイント(九十九里海岸付近83km地点)とひたすら潮騒の音を聞きながら外房の海岸線を北上していると漸く夜が明けてくる。とっくに足は悲鳴を上げており、それぞれのチェックポイント間の移動が永遠の行程のように感じられるようになる。ともあれ、残り17km、海岸線ともお別れで、ここからは内陸を目指し西に進んでゆく。何故か一旦バラバラになっていた同志たちとも次第に再会を果たし、徐々に集団が大きくなってゆく。励ましあうことで勇気はもらえるのだが、足の裏の痛みは如何ともしがたく、歩みは益々“のろのろ”になってゆく。24時間が経過し、午前9時を過ぎるころには暑さとの戦いも加わってきた。あと5km。あと3km。ラスト1km。威勢がよくなることはなく、裸足で石の上を歩いているような“恐る恐る”の歩みが続く。ゴール付近までくるとサポーターの面々が道の両サイドに垣根を作っており、大声援を送ってくれている。長い長いチャレンジが今漸く終わることにえも言われぬ満足感と安ど感が込み上げてくる。24時間38分。2年越しのゴールである。

大地震の発生時、大規模停電、etc.etc. 帰宅難民の話を耳にすることがある。〝心配には及びません。人間、いざとなったら、それなりの距離は歩いてしまえるものですよ!″と声を大にして叫びたい今日この頃である!

 

おまけ:各チェックポイントで運営サイドより提供していただいた食料

    第一CP ペットボトルの水 チョコレート

    第二CP アイスクリーム 飴 

    第三CP 水、飴、チョコレート、

    第四CP    同上

    第五CP おでん

    第六CP トン汁

    第七CP おしるこ

    ゴール  抜群に美味しいカレーライス

                                  完

 

つぶやき その拾

 

看板娘の離職

 

人にはそれぞれ役割があり、その存在自体が不要だという人は誰もいない。問題は自分の存在意義が認識出来ているか否かである。日々自分の言動を振り返り、改善・改良を試みる。悩むことを止めない。そこに人としての価値があると思う。

この“つぶやき”を始めるにあたって、当社の“看板娘”との件に触れているが、彼女は今カナダにいる。若干“天然”であることは否めない(失礼!)しかしながら、どうでもいい存在感の薄い100人のおやじが束でかかっても彼女には勝てないと思う。“若いからだろう”ということは言い訳にならない。年齢とか性別だとか、生い立ちだとかなんてことは問題ではなく、限られた人生を全力疾走するかどうかが大事なのである。会社には休職制度が無い為、退職しての語学留学である。1年後に更に磨きのかかった彼女との再会を(心にぽっかりと穴の開いた筆者を含む多数のファンとともに)念じて止まない今日この頃である。

 

業務の流れ その弐

 

荷捌(にさばき)会議

 

本船入港(正確には着岸)前日の14時に行われる荷役関係者を集めての会議。メンバーは弊社業務部本船担当、施設管理部、荷役作業会社(東洋埠頭)、船内荷役会社(鹿島東洋埠頭=主原料、鹿島港湾運送=副原料)船舶代理店(東洋埠頭、丸全昭和運輸、鹿島埠頭、山九の内の1社)検数会社(全日検)検量会社(穀物検定協会、海事検定協会、日検、油糧検定協会の内の1社)そして燻蒸会社(関東燻蒸)で構成される。本船や貨物に関する情報は複数のソースがあり、名称等で微妙に違いがみられるケースもあるため、“荷捌き計画書”に情報を集約し、この書類を全ての基本とする。荷捌き会議に荷主である商社は参加しないが、弊社本船担当者がその意向を代弁し、本船荷役作業のスケジュールを調整する。①デス・デマ発生のリスク②荷渡し先である飼料メーカーさんの在庫状況③鹿島港内の他バースや他港での競合船舶の動静④天気予報 等等を鑑みて荷役計画を決定し関係者に周知する。税関、植物防疫所、鹿島港港湾事務所、海上保安署等、関係省庁との連携についてもこの場で確認、周知する。当社のアンローダーは400トン/Hが3基あり、1時間で1,200トン。1日デイタイム8時間の揚げ数量の目安は8,000~9,000トンであるので、1万㌧の荷役は1~1.5日、2万㌧3日、3万㌧だと4日間の荷役日数がベースとなるが、前述①~④等の様々な条件で残業荷役を行うことになる。本船はハンディマックスタイプ(190M 5H)やパナマックスタイプ(225M~230M 7H)がメインとなるが、荷役中や荷役終了後のハッチ内に残る穀物の残量のバランスを考慮しながら取り口を決めていくことになる。3基のアンローダーがそれぞれのハッチに分かれてヨーイドンで荷役を開始後、○○トン取ったら△△ハッチに移動して××トンを取るといった作業計画の一連の流れをシークエンスと呼んでいる。シークエンスについては船のスタビリティー(前後左右の安定や本船の構造強度の安定)をCPUに計算させて導き出すケースが主流となっており、ほとんどの場合、本船の船長やチーフオフィサーのリクエストをベースに

組み立てられる。これは荷捌き計画書に付随する形でDISCHARGING PLANとして作成され関係者に配布される。先ほど今年最後になる50回目の荷捌き会議(ということは今年の入港船舶数は丁度50隻ということになる)が無事終了した。明日から本年度の最終船の荷役が開始となる。

                                   完

 

つぶやき その九

 

安全衛生活動標語

 

毎年3月末に“安全衛生活動標語”コンテストの審査結果が発表される。今年も昨日、応募総数104作品の中から最優秀作品以下入選6作品が公開された。弊社の安全衛生標語作品は異様にレベルが高いと業界で専らの噂になっている。筆者も毎年ありとあらゆるソースから第三者の作品を研究し、あれこれひねくり回して応募しているのだが、一向に箸にも棒にも引っかからないという状況が続いている。

因みに今年の“最優秀作品”は

 

安全は 止める勇気と待つ余裕 慌てず焦らず安全作業

 

いかがであろう?おかしいなと思ったら止めて待つ!基本中の基本であるが、それを実行するためには勇気と余裕が必要であると。しかも下の句は“あ”の3連で韻を踏んでいる。次点の“優秀作品”も気が利いている。

 

慣れで挟まる油断の手 指して強める安全意識 習慣づけよう指差呼称

 

無意識な「油断の手」と強い意志をもった「指差呼称の手」の対比が秀逸である。

“習慣づけよう”で〆て居るが、(油断=悪い習慣)⇒(指差呼称=良い習慣)への転換の示唆も読み取れる。実に上手い。佳作3作品を一気に並べると

 

見る目 聞く耳 感じる手 些細な変化も見逃すな 確認作業で安全職場

 

ありがとう お疲れ様の一言が 明日を作る 明るい職場

 

そのヒヤリ しっかり報告 きっちり改善 危険を先取る 第一歩

 

3作品ともテンポが良い。また真ん中の作品は“精神衛生”のみにフォーカスしている潔さが素晴らしいと思う。さて、今年も例年通リ筆者作品は馬群に紛れた着外と観念していたところ、「特別賞」なるものが設けられたとのこと。

 

大丈夫? あなたの安全意識! ちこちゃんに叱られませんか?

 

言わずもがな筆者作品である。今日この頃のご時世ネタなので賛否はあるでしょう!!忖度と言われても甘んじて受け入れます。

                                         完

 

つぶやき 業務の流れ その一

 

(荷主が買い付けし海外産地で船積み)

ここでいう“荷主”は主に商社を指すが、スワップ(後で詳しく説明する機会があると思う)のケースもあるので、全農さんも含まれる。穀物の産地での流れを簡単に説明すると 畑(農家)⇒カントリーエレベーター⇒リバーエレベーター(若しくはターミナルエレベーター)⇒シーボードエレベーター⇒船積みとなる。まずは農家であるが、米国の穀物生産農家の平均で450エーカー(180ヘクタール=東京ドーム40個分)と言われており、その規模はざっと北海道の農家の13倍という大きさであるが、米国中西部の主産地やオーストラリア、ブラジルなどには数千エーカーから数万エーカーという農家も存在する。前項の“とうもろこし”で説明した通り、世界の人口の増加(それに伴う購買力の上昇が条件となる)が背景にあるので、相場は底堅い状況が続いており、その間に稼いだ利益を保管スペース等の増設という設備投資に向けた農家も多く、従来の収穫→出荷(売却)という流れから最近では収穫→保管(相場の上昇を待つ)→出荷という流れに変化してきている。以前は農家単位の保管能力不足から収穫直後に一定量のとうもろこしが各エレベーターを経由してマーケットに流れたため収穫時期に相場は一旦冷え込む傾向(ハーベスト・プレッシャー)が見られたが、昨今は大豊作が何年も続いているにも関わらず、この相場現象が表れにくくなっている。カントリーエレベーターは最近日本でも農協などを中心にお米の集荷、乾燥、脱穀、袋詰めなどを行うサイロ保管施設が運営されているので、イメージのわく諸兄もおられるかと推察するが、日本国内のそれが数千トン規模なのに対し、海外のカントリーエレベーターは10万㌧前後(日本の港湾サイロと同規模)がスタンダードである。カントリーエレベーターでは集荷(買取り)、乾燥、一時保管されたのち、川輸送の拠点であるリバーエレベーターや貨車輸送の拠点であるターミナルエレベーターに出荷されるが、前述の個々の農家の保管能力の増強に伴い、役目の重要性が薄れつつあることも事実である。ターミナルエレベーターは貨車輸送の出発点で世界各国の穀物生産地域に点在しているが、リバーエレベーターは米国中西部に特徴的に存在する。アメリカ中西部を南北に流れるミシシッピ川を本流として繋がっている複数の河川から艀(はしけ:動力のない水に浮かぶ巨大な鉄製の箱)船団がタグボートに押されて南下する。途中、ロック&ダムと呼ばれる施設を経由することにより土地の高低差をダム内の水位調整により克服している。艀船団は川下に進むに従い川幅が広がることに比例して増幅され、20隻ほどの連結(積載量で30,000㌧)になることも珍しくない。最終的にミシシッピ川の河口ニューオーリーンズ周辺に点在するシーボードエレベーターに搬入、グレーディングされた後、世界各国に向けて船積みされることになる。日本の商社は世界中のシッパー(ルイ-ドレファス、カーギル、ガビロン等の穀物商)から穀物を購入、船積みに当り船荷証券及び輸出用のインボイス(海上保険付きのもの)の準備が完了すると日本向けの貨物を本船の船長に託すことになる。                        

 

つぶやき 其の八

 

社内旅行

 

3回前に書いた十大(重大)ニュースを発表する忘年会と並んで、社内旅行は年1回の一大イベントである。先週末の2月23日~24日に1泊の静岡県焼津方面バス旅行、参加者は当日用事のあった従業員を除くほぼ全員の12名であった。当社の社内旅行は創業以来の恒例行事となっており、過去には飛行機や新幹線を利用しての遠隔地への旅も企画、挙行されたが、近年では専ら貸し切りバスを使っての近場温泉旅行が主流と変わってきている。何故か?旅のスタートからあまりにも賑やかすぎて、公共交通機関の利用は他のお客様に迷惑がかかるからという配慮からであると思われる。

車内が賑やかというのはただ単に飲んでいるからという理由ばかりではない。恒例行事として①走行距離当てクイズ②到着時間予想クイズ③ビンゴゲーム④お題あてお絵描きリレーゲーム⑤ご当地〇×クイズ等は定番企画であるが、最近では幹事の趣向を凝らした珠玉の企画も登場し、大いに車内を盛り上げることになっている。昨年の草津方面旅行ではご当地の名所,名跡、名物名等を事前に社内各位に“書”にしたためてもらい、車中で披露することにより才能有、凡人、才能無しを

お互いに予想するというもので、当たらない場合の追加のヒントとして①生まれ変われるとしたら?②オールタイムマイヒーローは誰?③好きな食べ物・嫌いな食べ物④カミングアウトします!等の事前アンケートの集計結果が用意されていた。今年の目玉はなんといっても「1枚の写真―私は誰~れぇ?」。旅行参加・不参加に関わらず、任意募集した幼少時代の写真を白黒コピーに統一し(時代背景がわかりにくくなるように)、誰のものかを互いに予想するもので、①うん十年同じ顔の“鉄板”さん②男女の区別さえつかないー昔はこんなに可愛かったオジサン③

みんなの期待を裏切る意表の一枚 と当る当らないは二の次の大盛り上がりとなった。バスは三保の松原(残念ながら小雨模様で富士山は拝めず)、久能山東照宮(河津桜満開で見事でした)と予定のコースを無事こなし宿入りしたが、夕食後の宴会で車中の流れをくむ大ゲーム大会part2(百均で仕入れたパターゴルフセットを使ってのワンパットリレー競争、社内(協力会社を含む)最巨漢当てクイズ、等等、盛り上がり、仲居さんから「片付けたいので、そろそろご勘弁を!」と退場宣言を受けて漸くお開きとなる次第であった。2日目、お土産を仕込むための「おさかなセンター」、高速参勤交代で有名、日本一長い木製の「蓬莱橋」、とろろ汁の名店の「丁子屋」での昼食と全てのスケジュールを終え帰途に就いたのだが、車中の盛り上がりは衰えることを知らず、観たかった映画のDVD上映やバスガイドさんの名所案内の声は虚しくかき消されていた。旅も終わりに近づき恒例のガイドさんによるお別れのご挨拶の運びとなり、さぞかし“こんなうるさい客は初めてだ”というコメントが出るのかと恐れているとあに図らんや、「30年以上この仕事をやっていて、ベテランから若手まで、こんなに仲の良い、チームワークのとれた団体さんは初めてです。感激しました!」とお褒めの言葉を頂くこととなった。近年、パワハラやセクハラはどこで線引きをしたらいいのだろう?と多くのサラリーマンがお悩みのことと推察いたしますが、信頼や愛情に支えられた関係を構築していれば、自然に「寸止め」が出来るものだと改めて自画自賛する今日この頃である。

 

                                   完

 

つぶやき 其の七

 

飯のタネ=とうもろこし

 

先日 “つぶやき” をご覧いただいた方からリクエストのメールを頂戴した。当ホームページにてざっくりとご紹介している「業務の流れ」についてもう少し細かく説明してはどうか?というものであった。確かに富士登山やらお祭りやらを書く前に“本丸”を一通り解説しておくのが筋と認識していたこともあり、今後しばらくは“業務の流れ”に沿って書き進めることとしたいが、その前にどうしても我々の飯のタネである穀物について述べておく必要があるので、今回はとうもろこしについて書かせていただく。パソコンでググってみたら世界人口は何と1日に20万人規模で増えているという。世界総人口は今日現在75億に達しており、ブルゾンちえみも37.5億と言い換える必要がありそうだ。さて本題であるが75億の人口を20億㌧の穀物が支えているという事実をご存知だろうか?大雑把な言い方をすると世界には“食べるために生きている”人々と“生きるために食べている”貧困層の人々が存在する。世界で生産される20億㌧の穀物を均等割すれば一人当り年間267kg(1日当り0.73kg)ということになるが、実際には平等に分配される事は無い。世界3大穀物は生産数量の多い順番に①とうもろこし②小麦③米であるが、②と③が食料として直接消費されるのに対し、①はその多くが配合飼料に加工されたのち家畜の餌として消費され、肉やたまごや乳製品として食卓にのぼることになる。飼料要求率(2:3:11)という言葉があるが、これは、鶏、豚、牛の肉を食卓に届けるまでに家畜に与えるとうもろこしの量を示している

(例えば2kgのとうもろこしを与え1kgの鶏肉を得る)。前述の通り、米や小麦はほとんどの場合直接消費されるが、とうもろこしの場合は経済力に応じ消費のされ方は様々な形態に分かれる。(上記からも鶏肉中心の食生活を牛肉中心にかえることによる食糧の需給に与えるインパクトがいかに大きいかがお分かりいただけると思う。)さて、上述の20億㌧の穀物の内とうもろこしの生産量は約半分の10億トンに上る。地球上の限られた畑や水(降水)を利用して最大限の作物の収穫を得ようとした場合、とうもろこしへの依存度を上げることが唯一の選択肢であるといえる。何故ならば、とうもろこしは地球上のあらゆる穀物の中で最も反収が高いからである。とうもろこしには明確な祖先種である野生植物がなく、他の植物との比較から来る数多くのユニークな特徴から「宇宙からもたらされた植物である」という都市伝説があるぐらいその存在自体が謎に満ちており、植物学者達からは「怪物」と呼ばれているという(テンシントというイネ科の野生植物がとうもろこしの祖先と何らかの関係があるとする説があるが、ここでは無視することとする)。昨今皆さんは米中の貿易戦争やら人工知能による労働力の置き換えやら、5Gの技術が支配する世界の出現やら、将来が見通せない(ついていけそうにない)近未来に戦々恐々とする日々を送っておられないだろうか?そんな予測困難な世の中でも人は食べなければ生きていけないし、その為には宇宙からの贈り物かも知れない「怪物」に大いに依存しなければならないことは紛れもない事実なのだ。とうもろこしを扱う仕事をやっていて本当によかったなぁ!と思う今日この頃なのである。   

 完

 

つぶやき その六

 

社内十大(重大)ニュース

 

弊社には忘年会の余興として従業員からその年の社内における重大ニュースを募り、十大ニュースとしてランキングを発表するという恒例行事がある。中には備忘録を準備し、1年間の出来事をバランスよく投票するといった生真面目な社員もいるが、大方の社員は記憶に頼りながらの投票となるため、内容は年の後半の出来事が中心となる。(1~3月の出来事が登場するのは極めて稀)項目別の得票数で順位を決めるので、毎年人事関係が第一位となる(これは業務部、施設管理部、総務部、財務人事部とある社内の組織の中で共通の関心事であるからだろう)。匿名による投票ではあるが、内容や文体から誰が書いたものかはある程度想像がつくことからあまり無茶な表現は出てこないが、それでも会社への希望や不満をそこはかとなく織り込んでくるので面白い。定番の一位はさておいて、今年の二位はバッド・ニュースとグッド・ニュースが同得票となった。バッド・ニュースは≒2,800日(7年半以上)続いていた無事故無災害記録が途絶えてしまったことであるが、グッド・ニュースは倉庫業においての収益の要である保管在庫数量が過去最高を記録したことである。つぶやきその弐でも触れているが、当社の取り扱い数量を左右する飼料各社の生産量が漸く上向きに転じ始めたとはいえ、国家備蓄制度(詳細は後のネタ切れの際にでも述べることにする)が2年半前に廃止されてからはよもやこんな日を迎えるなんて誰が想像したであろうか!?背景には米国と中国の貿易戦争がある。中国が米国に対する報復として輸入大豆の関税を引き上げたことにより、割高な米国産大豆の中国への輸出がストップ。優先的に積み込まれたとうもろこし積来船があれよあれよという間に日本に押し寄せたというわけだ!

 

さて、弊社の忘年会も終わり、十大ニュースも出揃ったところで、今年も余すこと

2週間と相成りました。小職の“つぶやき”をお読みいただいているありがたい読者諸兄がどのぐらいいらっしゃるかは全くもって定かではありませんが、今年一年のお付き合いに心中より感謝を申し上げますとともに来年が皆様にとりまして実り多き一年となりますことをお祈りせずにはいられない今日この頃であります。

 

 

つぶやき その五

 

大型貨物船

 

とうもろこしは世界中の港から大型の貨物船に積まれて運ばれてくる。ばら積みと言われて粒のまま”どさっ“と入ってくる。貨物船には路線バスのように運行スケジュールの決まっている”定期船“と観光バスのようなチャーター型の“不定期船”があり、とうもろこしなどの穀物の輸送ではほとんどの場合、不定期船が使われる。

当社では創業30年を過ぎ、2000隻を優に超える不定期船の入港を記録しているが、同一の本船が2度3度と繰り返しやってくるケースは稀で、多くの本船との出会いは一期一会となる。パナマックスという言葉をお聞きになったことはおありだろうか?地球儀を俯瞰したとき、太平洋から大西洋(または逆)に移動するにはアフリカ大陸最南端の喜望峰を回るか南米大陸最南端のホーン岬を回るかの選択肢があるが、もう一つパナマ運河を利用してショートカットするという方法がある。パナマ運河通行可能最大型の本船という意味でパナマックス(panama-max)と呼ばれ、それより大型の船はパナマ運河が通行できず、岬(英語でcape)回りをせざるおえないのでケープサイズと呼ばれている。((注)近年パナマ運河の拡張工事が完了し、高い通行料を支払えば、ケープサイズクラスでも条件によってはパナマ運河の通航が可能となっている)。船には船籍(船の国籍)があり、パナマ船籍が代表的であるが、ギリシャ、香港、シンガポール、インド、等の海洋国家やマルタ、バハマ、マーシャル諸島等の地図上でも目を凝らさないと見つからないような小島国に船籍登録をする船も増えてきている(節税目的か!?)。乗組員は、船長(captain)、機関長(chief-engineer),一等航海士(chief-officer)などの要職を中心に20名前後で構成されており、平均50日~70日程度の一航海を年間5~6ラウンドこなすといったイメージとなる。従い岸壁に係船された状態(半陸上)よりも海上での生活が中心となるため、孤独に耐えうる精神力がなければ船員には不向きである。船の生活は様々な不自由や困難を伴うため、一定レベルの賃金が保証されることになるが、乗組員の成り手の多い少ないはその時々の各国経済の趨勢と反比例する。例えば、十年以上前には中国や韓国の船員さんが多くみられたが、最近はとんと見かけなくなっている。わざわざ船に乗らなくても国内である程度稼ぐことが出来るからであろう。現在、不定期貨物船の多くはフィリピン人の船員さんにより運行されている。自国に主だった産業を持たず、GDPのかなりの部分を海外からの仕送りで賄っている同国の男子にとって船員は天職ともいえるものなのかもしれない。グローバル化の中にあって安価な原材料を調達する為には大型船による大量輸送は欠かすことが出来ない。フィリピンの船員さんは楽天的且つ真面目なので、船員にはうってつけだと思う。いつも人懐こい笑顔を欠かすことのない彼らのおかげで、私達の不足のない生活があるのだと考える今日この頃なのである。

                                   完

 

つぶやき その四

 

大麻(おおあさ)神社祭礼

 

毎年10月第三土曜日明けの月曜日には決まって風邪をひく(正確には風邪をひいたふりをせざるを得なくなる)。お祭りで声を張り上げ “だみ声” になってしまうからだ。筆者はお祭りの山車(だし)の上でお囃子(地元では演奏者のことを下座(げざ)と呼んでいる)をやっている。昨年ユネスコの世界文化遺産登録された“関東三大山車祭り”の一つに数えられる佐原の大祭の流れを汲んだ祭りなので、「佐原ばやし」を演奏することになる。我が玄通(げんづう)下座連のレパートリーは30~40曲程度だが、腕の良い“お祭り命”の下座連(注 囃子連、芸座連 と呼ぶ団体もある)だと50曲越えの持ち曲があったりする。演奏曲はお祭りの場面、場面で使い分ける。役物、段物、端物というカテゴリーがあり、端物の中には早調子(どんつく)、中速曲、流し(ゆったりとした曲)の3段階があり、更に若連(山車の引き回しを担当する若者達の集団)の踊り用に流しの曲を早調子にアレンジしたりしている。山車の1日の運行は必ず役物である砂切り(さんぎり)→馬鹿囃子(ばかばやし)→花三番(はなさんば)で始まり、馬鹿囃子→砂切で終わる。山車を90度以上回転させる(道路の角を曲がる場合や“のの字回し”を行う)際には花三番の高音部分である“ひしぎ”を演奏する。神様の仮殿でお神輿が収納されている御仮屋(おかりや)通過時及び他の山車とのすれ違いの際には大太鼓を叩かない。等、等、様々な決まりごとに配慮しながら運行しなければならないので、傍から見た華やかさの裏側でかなり神経を使いながら演奏しているのである。

ところで、祭りといえば下座はあくまで脇役で、主役は若連ということになる。

若連の中心は20~30代の若者で、中高生も補佐役に回る。小学生や幼児も父兄の監視付きで参加するので、総勢100名程度で山車を引き廻す。筆者の若連時代には未成年の飲酒は当たり前で、酒の勢いでの喧嘩や様々ないざこざがあったものだが、ご時世なのか昨今は感心するぐらい規律が取れている。祭りのハイライトは何と言っても若連による”手踊り“だが、最近は踊りの優雅さに加えて衣装の華やかさも注目されているようだ。数年前に日本国中のお祭りを車に寝泊まりしながら追いかけているお祭り気違いのおじさんに言われたことがあった。「大麻神社の祭礼は日本一の女祭りですよ」と。そういえば一頃は寂れかけていて、お祭りの継続は難しいと頭を悩ませていた時期もあったが、最近は若者の参加が過去にないほど増えていて、しかも女子の参加が目立つ。

さて、今年の祭りだが、事故もなく、天候にも恵まれ、盛大に挙行することが出来た。秋のお祭りに向け1年を通して稽古(練習という言葉を使うと通の人に怒られる)を継続することはかなりの負担ではあるのだが、祭礼の2日半(本祭は土、日の2日だが金曜日の午後から前夜祭がある)、若連の女衆にちやほやされ、感動のフィナーレ時に「下座長!最高でした!来年もまた、おねがいしまぁぁーす!!」と言われると、来年に向け、また1年頑張ってみるか!と思ってしまう今日この頃なのである。

 

 

つぶやき その参

 

ソーラス対応

 

皆さんはSOLAS条約をご存知でしょうか?アカデミー賞を総なめにし、誰でも一度は見たであろう名作映画「タイタニック」は1912年に実際にあったタイタニック号の海難事故の史実をベースに制作されました。この事故を契機として1914年に「海上における人命の安全のための国際条約」が締結され、それ以降何度もの改正を経て、1974年に現在の「SOLAS条約」が締結されました。と、ここまでは専ら船舶関係者及びその利用者の安全の確保に資する為の条約としての位置づけでした。

ところが、2001年9月11日(所謂9.11)米国での同時多発テロ事件が起り、これを契機に“船舶と港湾施設の保安対策の強化に対する機運が高まり、SOLAS条約に“港湾施設の保安対策の義務化”を追加した所謂「改正ソーラス条約」の誕生と成ったわけです。(国内法としては「国際航行船舶及び国際港湾施設の保安確保等に関する法律」として2004年に制定されております。

当社には1年間に50~60隻程度の国際航行船の離着岸がありますので、国際埠頭施設(年間12隻以上で条件を満たす)と位置付けられており、保安対策が義務化されております。実は去る9月27日にも国土交通省による定期立ち入り検査が実施されたばかりであります。(指摘事項無しの高評価をいただきました。)

 

さて、ここまで読んで頂いて「何だか、難しいことを立派にやってるんだろうな!」

的な感想をお持ちになったかと存じますが、実態はこうです。

  • 敷地内への不審者の侵入防止のため、敷地外周に張り巡らされたフェンスを嵩上げしたうえに、忍び返しや有刺鉄線を付設しての侵入防止
  • 出入口を原則一カ所に限定し、スタッフカード(社員及び一部の協力会社の社員のみに配布)を持たない入構者には守衛(ガードマン)による入退出の厳しいチェック(しかも三点確認といわれる本人確認(免許証等顔写真付き身分証明書)所属確認(団体名)、入構の目的)を行う。【これは毎日顔を出す郵便局や宅配便の配達員、仕出し弁当屋さん、重要取引先のお客様も例外とはしません(“顔パス”を良しとせず)ので、極めて評判が悪い】
  • 人感センサーや監視カメラによる①の補完
  • ③の定期的な作動確認やメンテナンス。
  • 4半期毎の不審者の侵入等を想定した訓練や研修
  • 同取り組みに関する内部監査や外部審査

等々、色々と事細かな管理が義務付けられており、一年を通じて相当なエネルギーを投入する業務となっております。

 

一方で当社にやってくる大型貨物船の積み荷はとうもろこしをはじめとする穀物であり、基本的には武器の材料等になったりすることはありえません。また本船を乗っ取った挙句、積み荷を転売して資金源にするなんてことも非効率すぎて想像出来ません。つまりテロリストが当社の監視体制を突破して国際船舶を襲撃もしくは侵入&潜伏して悪事を成し遂げる確率がどの程度あるのだろう?と考えるに空しい気持ちになってしまうのは私だけでしょうか?早く平和な世の中が訪れることを心より強く願う今日この頃です。

 

 

つぶやき その弐

 

千客万来

 

数えたわけではないが弊社には年間100組程度の見学者がお見えになる。株主3商社(豊田通商、丸紅、三菱商事)、日本最大の飼料コンビナートを構成する客先9社(飼料関係8社、食品関係1社)。それぞれの本社からも半日コースと手頃であり、海外からの出張者も(成田空港に近いため)行き帰りに気安く立ち寄れるロケーションにあること。また日頃なかなか目にする機会のない大型貨物船の見学が比較的容易に出来ることなどが主な理由と思われる。転勤者や新入社員の研修期間である4月~6月頃は見学案内のダブルヘッダー、トリプルヘッダーも珍しい事ではなく、時に案内に夢中になり過ぎ昼食を取り損ねそうになることも1度や2度ではない。加えて最近では飼料各社のユーザーである畜産農家さんの飼料工場の見学の際、セットで当社の見学を希望されることが多く、現場案内の機会は年々増加している。私どもの会社の性質上、自らの営業努力が業績に反映されることは稀で、客先各社の飼料生産数量の増減が当社の業績を左右すると言っても過言ではないので、畜産農家さんの生産意欲については最大の関心事ということになる。少子高齢化に歯止めがかからず、人口減少の一途を辿る我が国において、食に携わる当社の業績も縮小傾向を余儀なくされる状況にあったが、ここにきて潮目の変化を感じ始めている。見学者の若返りや女性の見学者の増加が顕著であるのだ。人口の減少を相殺して余りあるほどの外国からの旅行者の増加(インバウンド効果)により我が国の配合飼料生産量は底打ちから上昇に転じ始めている。外国からの旅行者の増加傾向を示す折れ線グラフと我が国の農水産物の輸出の増加を示すそれとをほぼ重ね合わせることが出来るというデータもある。これまでの守りの経営から攻めの経営への転換を唱える専門家や学識経験者の声を聴く機会も増えていることからも業界にとっては願ってもいないチャンスの到来で、見学者との意見交換にも思わず力が入る今日この頃なのである。当社にお見えになる関係者の方々には弊職なりの最大限の感謝の気持ちをもってご案内差し上げている。明るい未来の畜産のパイオニアを目指すチャレンジャーに幸あれと念じつつ。

 

業務部長のつぶやき

 

昨年、弊社のホームページを立ち上げた。主な理由は企業としての最低限の体裁を保つことと、従業員の募集を行う際のせめてもの道標がないのは如何なものか?という社内での声を反映してのものである。そもそも弊社の業務は世間様にPRしようがしまいが業績には関係ない。従い無理やり立ち上げたホームページは会社の代表の交代とか主要設備の更新とかでもない限り“ほったらかし”にされて誰からも見向きもされなくなる運命にある。これじゃ寂しかろう!というのが昨晩の懇親会の席での話題で、コラムでも作り、せめて月一ぐらいで更新してはどうか!?という囁きにまんまと乗せられて筆をとった次第である。折しも会社の部下である若手“看板娘”とのジェネレーションギャプに基づく“知ってる言葉、知らない言葉”のやり取りが痛快な今日この頃、そんな他愛のない内輪話も含めて活字化し社内外に披露するのも有りかな!という思いで筆を進めることとする。

 

富士登山

 

仕事柄お客さんとの会食の機会は少なくない。そして仕事の話はまずしない。他愛のない世間話の延長線で、酒の勢いに任せて様々な約束を交わしてしまう。富士山への挑戦も例外ではなかった。7月21日~22日の土日が決行日。よりによって前日の金曜日の暑気払いと下山直後の月曜日のゴルフの予定が入っていた。新宿バスタ10:30発富士山5合目行きのバスは中央自動車道路お約束の大渋滞の影響で定刻より2時間遅れの14:30頃に到着。たまたま4人中3人が愛煙家であったため、登山開始前の“いっぷく”を試みるも空気が薄いためか、着火に大難儀。前途多難を感じつつ15:00時に入山したが、直ぐに前夜の深酒を大反省することとなった。飲みすぎによる体内水分アンバランスのためか、足の付け根からつま先までが悲鳴を上げ、3人のパートナー(名誉の為申し上げるが、筆者より断然若い)の足手まといになること5時間、砂利場や、岩場や、それらしき難所を命からがら登破し、漸く8合目の山小屋に到着。平地の2~3倍はするビールで小一時間の前夜祭後にまさに“うなぎの寝床”で仮眠をとるもレム睡眠状態が訪れる前の00時に起床。ご来光前の登頂を目指し、暗闇に光のうねりを作る数多くの登山者達に再び加わることとなった。渋滞によるスローペースのおかげか前日よりはへこたれることなく03:30頃に山頂の鳥居を潜り、それなりの防寒着は用意していたものの5℃の気温に震えつつのご来光待ち。気象条件は上々で5時半頃に感動の日の出が・・・疲れが吹っ飛ぶなんてことはなかったものの頂上制覇に感無量(実は4月に100kmウオーキングに挑戦し、73km地点リタイヤの苦い経験あり)と相成ったのもつかの間、余力のある3人からエクストラの“おはち回り”を提案され、その後の下山と合わせ、肉体と精神力の限界を痛感することとなった。日本最高高温記録が熊谷で更新された7月23日の酷暑のゴルフが限界の肉体に否応のない追い打ちをかけたのは言うまでもない。

 

本来であれば第一回目のつぶやきとしては、当社が飯のタネとして取り扱っている穀物のあれこれについて紹介すべきところであるが、たまたま先週末に富士山に登山(多分人生で最初で最後)し、その痛烈な体験の記憶の冷めやらぬうちにお伝えしたく、今回のネタとさせていただきました。